ひきこもりは殺人者になるのか 人間が事件を起こしてしまう5つの条件|川崎・登戸カリタス小殺傷事件考察

54歳引きこもり女性「生きる見通しがたたなくなったら…」

不遇な少年少女時代を過ごした人の中には、明るく元気に笑う子供たちに猛烈な怒りと憎しみを抱く人もいる。前に話を聞いた女性は「子供の声を聞くと、怒りがわきあがって何をしてしまうかわからない。傷つけてしまうかもしれないから、それが怖くて、子供が近所を歩いているかもしれない時間は自分のアパートで鍵を閉めてひきこもっている。世界から子供がいなくなってほしいし、自分は子供を絶対に産まない!」と言っていた。

まったくの理不尽で、見当はずれの怒り方である。
しかし、彼女は両親に性的、物理的虐待を重ねられ、早々に見捨てられ、僕が会った時は離人症(解離性障害の一種で、ストレスがたまると、自分の心が体からずれて後ろに下がって、自分の肉体を見ているように感じる)を患っていた。

今回の事件の実行者は子供への見当はずれの強い怒りを抱いていた。もしかしたら、この彼女の気持ちと通じるものを抱えていたかもしれない。

「自分が絶望して、どうしていいかわからなくなって、生きていける見通しもたたなくなったら、自分は気が狂って、今回のような事件を起こしてしまうこともあるかも…」

そう話す彼女は、もうすぐ54歳になる。ほぼひきこもり状態で一人暮らしをしている。

このような事件の実行者を許せと言っているのでは断じてない。むしろ事件を起こしたからには、きちんと裁かれて、罪を償うべきと考えている。ただ、社会の側も無理解でいていいとは思わない。

事件を起こすかもしれない人でも、上記の5つの条件を崩して消してしまえば、普通の人生を送ることができると考えられる。だから、社会がひきこもりなどに偏見を抱いたりしないで、誰もが安心して生活できるようになれば、今回のような事件は予防できる。僕はそう信じている。(文◎石川清)

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