ひきこもりは殺人者になるのか 人間が事件を起こしてしまう5つの条件|川崎・登戸カリタス小殺傷事件考察

ある引きこもりの叫び「一人で死んでたまるか」

さて無理心中の説明をしよう。この実行者は犯行後に自殺を図って死亡した。一人で死ねばいいのに、という意見もあったが、長期間上記の5つの条件下で生きると、強い怒りや憤り、嫉妬や嫉みなどを抱くことがある。

かつて秋葉原事件があった直後に新宿の雑踏にアーミーナイフを持って飛び込んで、大量殺人を画策しようとしたものの、びびって全くの未遂に終わったひきこもり経験のある若者は次のような言葉を吐いた。彼は新宿の駅前を楽しく闊歩する若者たちをターゲットに考えていた。

「一人で死んでたまるか。ぬくぬくと苦労もなく楽しく生きる連中を道連れにして死にたい!」

まさに無理心中である。彼は萎縮して何もしなかった(もちろん、大半の人は萎縮して、そう思っても実行を思いとどまる)。そして、もし実行していたとしたら、被害者はとばっちりを受けて、流れ弾に当たったようなものとなる。被害者自体は何も悪くない。ただ、彼が何の悩みもなく楽しそうに生きる人たちに嫉妬して、勝手に逆恨みしたに過ぎない。

だが、僕は一方でこの彼が20年以上、孤立して、いじめられて、親に捨てられて、虐待されて、自分で腹を裂いて、ずっと悩み苦しんで、我慢していた事実も知っている。だから、僕は彼をそのとき支援した。そして、彼は犯罪者とならずに元気に自活している(幸せと言えるかわからないが)。彼はまもなく50歳になるところだ。

参考記事:「もう通り魔やるか…」 人を殺しかかる寸前で自分を止めることが出来た元会社員のSNSが「役立つ!」と話題 | TABLO