室井佑月さんに聞くネット言論とヘイトとフェイク 「Twitterを始めて分かったこと」(前編)

――いや、チラッとタイムライン見たけど好きだっていう人も多いですよ。

室井さん:たぶんフォローしないでいろいろ言ってくる人がいると思うから、いまはそれを見ないようにしているかな。1回自分の上げるじゃん、そうすると10分も経たないうちに99+になっちゃう。

――ああ、リプライが。まだ「殺す」的なものは来てないですか?

室井さん:それは来てない。

「ソースって言うから毎日、朝日を挙げると『ほーら』って言われる(笑)」

――Twitterやってみてネット民はヘイトが多いなと思ったりしました?

室井さん:ネット民がとは思わない。人は誰でも心に薄暗い部分を持ってたりするじゃん。それが表に出やすいだけじゃね? あと誤解とかそういうものがすごく多いんだなと思う。たとえば「ソース上げろ」って言うからソース上げるじゃん。それが毎日新聞だったり朝日新聞だったりすると、「ほーら」って言うんだよ(笑)。

――ああ、わかります(笑)。

室井さん:新聞社って訴えられたらマズいから相当綿密に取材して書いてるから、デマとか流さないじゃん、ほんのわずかの例外を除いて。

――人生経験が違うから、そういう風に言わないと太刀打ちできないんじゃないかなと思いますよ。

室井さん:でも気づくところもあるんだよ。原発のことで私が福島を差別したとかイジメたとかって言ってることで。

――最近でしょ?

室井さん:ううん、前から言われてて。あのとき安全か安全じゃないかまだわからなかったとき、私は万全を期して子供の安全を真っ先に考えるべきだと思ったのね。で、思ったよりは大丈夫だったけど、ホントに危機一髪だったわけじゃん。

だって、あのときって関西方面のホテルとか取れないぐらいだったんだよ。メディアの人間は、レベル3って発表したときはもうレベル7に上がるってわかってたんだよ。だけど言わなかった。そういうことを知ってる人間で自分だけとか自分の子供だけと思わない人間が一生懸命言ったじゃん。それをいま「デマ」って叩かれてる。

でも、時系列で言うとそうじゃなくて、原発マンセー側のほうがひどいわけよ。甘利明の「日本はどうなってもいい」発言とか、そういう人たちが誘致してるわけでしょ。私は当時「(食物は)測って売ってください」って言ってて、いま全部測るようになって良かったと思う。

福島第一原発内部(写真・編集部)

――放射能測定器を持っているんですよね。

室井さん:うん、お願いされて線量を測りに行くボランティアやってた。子どものいる人限定で。線量が高かったりすると、次になにをすべきかきちんと考えられる、そういって感謝された。逆に、低かったりしたら一緒に喜んだ。けど、大声では喜べなかった。だって、道一本挟んでおなじ町内で高いところがあったりして。

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