マスク600枚の寄付した女子中学生に対するオトナたちのさもしい反応 一度も使わずに貯めてきた8万円を材料費に充てた女の子に…

貨幣を持たなかった頃の人類には「贈与」の原理が働いていました。村と村や部族と部族がお互いに生きていくために、相手に贈り物をした。最大の贈与は結婚であり、嫁や婿を相手の村に嫁がせること。贈与は物や人に、情や愛を乗せて送る行為です。受け取った側は、これに対し交換で返すことはできません。返すならば、同じように贈与で返さなくてはならないので、物や人に情や愛を乗せて贈る。こうすることで、互いに背反し合う村や部族であっても、情や愛が往来するのでバランスが崩れることは少なかったのです。

しかし、贈与は煩わしいし、いちいち情や愛を乗せていたのでは、往来の回数も増えません。そこで人類は物が来たら別の物で返すという「交換」の原理を発明しました。向こうから来たものに対して「等価と思しきもの」を返す。こうすれば感情のやりとりが必要ないので煩わしさも少なく、感情をこめないために往来させる回数も増やせるということです。

これが資本主義の原点で、物と物の交換だったところに「お金」が介在してくるようになり、物とお金で交換が成立するようになりました。こうなれば、やりとりの回数は増えて経済の分母はみるみる拡大していくのです。

だからこそ資本主義は、私たちに「進むこと」「増やすこと」を求めます。