自称天才編集者・箕輪厚介氏のセクハラ・パワハラメッセージを解読 女性ライターは必死に抵抗していた|能町みね子
部屋にはとにかく来てほしくないために、話が進まない。ラブホテルまで持ち出してきたため、牽制して「カフェで」と念押ししている。しかし、仕事相手からの頼みをずっと断りつづける気まずさから、彼女は少し折れてしまう。
A「ほんとに、お茶だけでもしてくれるんですか?」「もしみのちゃん暇できたら、お茶でも笑」
部屋に行きたいという希望について結果的に100%断ってしまっているので、妥協点を見出さないと、次回会うときに関係性が悪化しないか不安である。そのため、「暇できたら」と時期を遠くに設定しつつ、自分から「お茶」を提案してバランスを取ろうとしてしまう。しかし、そこにまた箕輪氏がつけこむ。
箕輪「Aちゃんちで?」
自分から「お茶でも」と提案してしまったため、ここでいよいよ、断るという行為をしづらくなってしまう。
A「家で出前食べてます」「家別にいいんですけど、本気で狭いし何も起こらないですよ!w話し相手欲しさ。」「セックスなしでよければ、仕事しにきてください!笑ひとりぐらし寂しくてつまんなくて死にそうw」
断りづらいが了承もしたくないため、一旦「家」の話を出しつつお茶を濁して返信をためらう。細かく言えば、「出前食べてます」も、色気のない感じを出したいのかもしれない。しかし、立場が上の仕事相手を断り続けることがいよいよ負担になり「別に(来ても)いい」と言ってしまう。とはいえ、そのあとも必死でその先の行動は防ごうとしている。「セックスなし」とストレートに言い放って釘を刺し、さみしいから来てもらうのだ、と明記している。この部分については、こんな人の訪問を許してしまった理由について、自分を納得させようとしている要素もあると思う。
箕輪「いきます!下心がまったくない」
A「すごい散らかってて私仕事してるけどよいのですか?」「(略)冷蔵庫ないです」「てか!テレビもまだないしDVDは実家にある。つまんないかも。いいんですか?」「こんな汚い部屋に笑」
あまりにも雑な箕輪の言い訳に対し、不安が募るAさんは「すごい散らかってる」「私仕事してる」「冷蔵庫ない」「(来ても)つまんないかも」と連発し、相手の欲望を抑えさせようと抵抗をしている。
箕輪「つきます!」
A「人が家に来るの初!みのちゃんの安心感ヤバいw」
本当に何もないと安心している関係性なら、あるいは仮に女性側が好意を持っていたら、「安心感ヤバい」なんてことは絶対に書かない。これは牽制である。あなたには安心感があるって(少なくとも見せかけ上は)信じているんだから、何もしないでくださいね、という意思表示である。
この後、箕輪氏は実際に家に入りこみ、「『触っていいですか?』『キスしませんか?』とくっついてきて、いくら拒もうと強引に体を触ってきたのです。本当にやめてほしくて、『無理です、もう帰ってください』と強引に家から追い出しました」(文春オンラインより)という流れになってしまう。
セクハラ後のメッセージも痛ましい。「当時は松浦さんの自伝本を仕上げるために関係を悪くするわけにはいかなかったので“ネタ”にしてやりすごしました」と彼女は語っている。仕事を続けるには、接触を断ってしまったという「マイナス材料」をフォローしなければいけないため、彼女は「『ネタ』なので気にしていませんよ」というスタンスのメッセージをする。