石原、猪瀬、青山、生島、落合…60歳超えてケンカ自慢するおじさん 『水道橋博士×町山智浩 がメッタ斬りトーク』(5)

町山:しかし、博士は偶然で色んな人に会いますよね。

博士:これは、よく言うんですけど、「星座」って言う概念で書いてるけど、色んな人に色んな出来事が起きてて、それは予め決められたような偶然ってことだけど、星座が本当にこのあたりってわけじゃないじゃない、ただ偶然に星がばらまかれてるだけじゃない。勝手に結ぶわけじゃないですか。55年生きてたら、もう既に人生に伏線だらけじゃないですか。実は伏線と付箋を兼ねてるんだけど、物語のページをめくっていくうちに…。付箋と伏線だらけなの。この本。

町山:この人の文章、とにかく韻を踏もう踏もうとするから。事あらば韻を踏もうとする。

博士:漫才師の性(さが)です。ずっとそれを訓練してやってるから。言葉と行動で韻を踏んでいくの。これは、他のみんなにも起きてるけど、俺はそこに対して、ことさらに伏線っていう意識があるから、普通の話も、もしかしたら、これこういう風に繋がるんだなって。

町山:『藝人春秋2』は、そのつながり方がスリリングなんですが、だから、小倉智昭さんの項目読んでて、小倉さんが学生時代に陸上部で100mを10秒9で走ったって書いてあるんですけどね、これ、伏線だと思ったもん。これが青山繁晴の「63歳で100mを12秒4で走る」って自慢に続く伏線かと。で、この本に青山繁晴が出てこないのはどういうことですか。

博士:青山繁晴、週刊文春の連載では書いてたんですよ。しかも後半の方に3週連続で。全部、切った!

町山:出てこないんですよ、この本の中に青山繁晴。

博士:青山繁晴さんは自民党から選挙に出て、参議院議員になった時に、俺はもうがっかりした。ほら吹きおじさんとして、平均睡眠時間が2時間で、60過ぎても視力が3.5もあって、スキーで腰骨を複雑骨折しても歩いてたとか自慢話がいちいち最高じゃないですか! そっちを書いてた。
しかも、俺からすると、たかじんさんの代役を務め、自分の政治信条を押し殺しながら、番組の司会をやってた人だったから。それがすごく俺の中では義理があったの。実はたかじんの代役の司会を最初はボクが任されたんだけど、ボクが当時、もう病気だったから2週しか出来なくて、だから義理を感じたのね。
それに彼は政治家には絶対ならないって言っていたのに。彼の逸話はすごい話の連続だから、それが面白いのに。

町山:だって青山さん、体から金粉が出るんだって。

博士:メタンハイドレートじゃないのそれ?(笑)。サイババだよ。ビブーディ!

町山:その「虎の門ニュース」だっけ? のビデオをネットで観たんですが、青山さんが「金粉出ますよね?」みたいに話すから、居島一平が「え? 金粉ですか?」と聞き返すと、青山さんが「君出ないの?」って驚くやりとりは最高ですよ。お金持ちになっちゃう。金粉出てたら。ねぇ。

博士:だって、青山さんの奥さんなんて、競馬で負けたことがないっていうね。

町山:それ、どんな自慢なの?

博士:だけど、だったら、それだけで大金持ちじゃないんですかって。そこで高額を賭ければ、メタンハイドレートを探す必要がない(笑)。

町山:「63歳の今でも100m12秒4」という自慢も面白いですよね。それはもう60代の日本記録だから。

博士:今は、青山さんのトンデモ発言を集めて検証する色んな映像がありますから。

町山:普段もいろいろ自慢してるわけでしょ、青山さんは。

博士:それはもう、絶えず……言ってますよ。

町山:どういう顔で聞いたらいいんですか、それ。そういう自慢を。

博士:ほら吹き男爵みたいな感じで、驚いていたらいいんですよ。実際、面白いんですよ。

町山:あ、この人ほらまた吹いてんな~って感じなんだ。

博士:そう。吹いてる人はみんな面白いじゃないですか。洋七師匠なんか、自称、「話すことの90%ウソで10%が作り話」って、それもホラだけど、だから面白いという感覚で、むしろ芸人的に…。

町山:寺門ジモンさんが面白いみたいな。

博士:そうそうそう。ジモンさんが言ってることの、全ての実証は武井壮が出来てるという。ジモンさんは全部脳内妄想でしかないっていうね。