石原、猪瀬、青山、生島、落合…60歳超えてケンカ自慢するおじさん 『水道橋博士×町山智浩 がメッタ斬りトーク』(5)

hakase5-4.jpg

博士:猪瀬さんに関しては町山さんの一節、この本で引用しているけど、「猪瀬さんの本1冊も読む必要もない」って、書いているね。

町山:読む必要もない! だって俺はっきり言って、『宝島30』の時に、仕事依頼で電話したら「俺ちょっとしゃべったらいくら稼げると思ってるの」って言われて。それ以来、もう絶対信じない。

博士:ボクは猪瀬さんが都知事時代に何度も共演しているけど、『週刊文春』の連載でこの原稿を書いた後、いざ単行本化するってなった時に、猪瀬さんから連絡があって。ボクの後取材を全部受けるって言って、猪瀬さん宅まで行ったのね。で、今の恋人の蜷川さんだっけ? あの人と一緒に食事しながらアツアツぶりを見せ付けられたけど。最近は、知事を追われて、皆に言われて、だんだん威張り性を直してはきているんです。だって、面と向かって、「俺って性格イイよな」って言われたら「……はは、ハイ」って言うしかないもん。
東浩紀と一緒(笑)。あれって、爺さんをからかってんだよ(笑)。でも高齢になってから性格を直すって、大変だけどね。その話も、全然、また書きますよ。何か時局があれば。
でも、本に掲載したのは連載時に書いた原稿のテイストそのままです。その後の家に訪問して長時間語り合った時の、後から得た印象は一切、盛っていないの。ま、それに、政治家ではないし、物書きだしね。基本、芸人や物書きにはボクはエールを送りますよ。

町山:猪瀬さんとか、石原慎太郎、青山さんもそうだけど、威張っている人って、偉く見られたいから、すごく自分を作ってる人じゃん。それって実は、弱いからじゃん。自分が弱くなければそんなことしない。博士は本当に強い人知ってるじゃん。たけしさんとか、百瀬さんとか。タモリさんとか、彼ら絶対自慢話しないでしょ。

博士:うん、うん。まあ、しない訳ではないけど、少なくとも自分を強く見せるためとか、他人に対して威圧的ではない。

町山:猪瀬さんとか、石原慎太郎とか、談志もそうだけど、談志はそうでもないか。

博士:(客席に)町山さんって、談志が嫌いじゃなくて、石原慎太郎が嫌いだから、石原慎太郎が好きな談志師匠も認めたくないって人なの。

町山:彼らは、初めて話すような人にも、いきなり「お前」って言うんだから、あれおかしいですよ。どういう関係性なんだ。あなたと私の間に何の関係性もなくて「お前」って言われる筋合いはないんだって。

博士:じゃあ「YOU?」だったらいい。「YOUデビューする?」

町山:それはそれで怖い(笑)。でも博士いきなり「お前」とか言われて嫌じゃないの?

博士:あ、俺は、そういう威圧的に来る人って、もう大好きだから。

町山:「お前」って言われるとゾクゾクゾクって来るの? お前って言われると夫婦みたいで、「あなた」で返すとか?

博士:いや、俺はもう初対面から相手が威張りん坊と思うと、懐に飛び込んで、この人、何の理由があってこんだけ威張ってんだろう? っていうのを解明しないと気がすまないの。ドM体質の記者だから。

町山:ものすごい威張り方だもんね。あれはコンプレックスなんですよ。コンプレックスがあるから威張らなきゃいけないんだと思いますね。だから一生懸命突っ張ってるから、ケンカ自慢するじゃない猪瀬さんも。

博士:するね~。猪瀬さん。近くの『真樹道場』に通ってたりしてるし。そもそも、ボクも猪瀬さんが前田日明のRINGSについて書いていたから興味を持ったんだよね。増田俊也さんが大宅賞をとった、『木村政彦は何故力道山を殺さなかったのか』(新潮社)を書くきっかけも、猪瀬さんが週刊文春に書いた文章からだから。

町山:ケンカ強い、ケンカ強いって。60過ぎてケンカ自慢って馬鹿じゃねーの。(さらに続きます|文中敬称略)

(2017年11月30日〈文春トークライブ 第20回〉
町山智浩×水道橋博士『言霊USA』vs.『藝人春秋』より)

 

沢木耕太郎によって傷付けられた石原慎太郎 『水道橋博士×町山智浩 がメッタ斬りトーク』(6) | TABLO