『森の中の売春宿』 本サイト記者がマジで目撃した女と男が集う山奥の”悪所”
何もない殺風景な田舎町ーー
高原地帯の盆地にあるその田舎町は、見事なまでに寂れていた。駅前に商店街はあるものの、大半がシャッターを下ろし、通行人すらいない。とにかく雰囲気が暗いのである。雪化粧をした山脈の吹き降ろす風が、ただただ冷たい。
「なんすかぁ、ここは! あ〜、ブルーになる」
シティボーイの編集・岡本君は、田舎に来ると塞ぎこむ傾向があるのだが、今回はいつにも増してブルーなご様子。無理もない。田舎好きの私でさえ、この町の陰鬱な空気に心が沈みかけていた。
「ここに住んだら、たぶん自殺するだろうなぁ」
岡本君がますます暗いことを言うので、気分転換をするべく喫茶店に入った。
店内に客はおらず、眼鏡をかけた中年女性が1人、カウンターの中に佇んでいた。で、蚊の鳴くような声で「いらっしゃいませ」と言ったきり、無表情のまま黙り込んでしまった。不吉なものを感じつつも、地元の情報を得るために話しかけてみる。
ーーこの町、初めてなんですよ。
「そうですか」
ーーいやー、しかし寒いですねぇ。
「そうですね」
ーーこの辺が中心部なんですか?
「ええ」
会話終了。冷たい相槌を打つだけで、彼女からは一切話しかけてこない。それどころか、コーヒーを差し出すと、私たちを避けるようにして奥へ消えてしまった。どうやら暗いのは町だけではないらしい。
そして夜。気を取り直して探検を開始。まずはタクシーを拾い、郊外の盛り場へ向かうことに。道中、初老の運転手に地元の夜事情について尋ねると、「この辺の人は、○○あたりに行くけどねぇ」と、ここから十数キロ離れたところにある都市の名を口にした。
ーーでもホラ運転手さん、”もよおしちゃった”場合、この近辺だと何処に行けばいいんですか?
岡本君がじわりと核心に迫る。
「うーん。まあ、無いこたぁないけど……うーん」
急に歯切れが悪くなる運転手。よそ者には教えたくないのだろうか。
ーー繁華街とかじゃなくて、田舎の中にあるって聞いたんですけど。
ずばり切り込むと、運転手はしばし押し黙ったあと、ぽつりと呟いた。
「あぁ、牛乳風呂……ってのがあるけど」
ーー牛乳風呂!? なにそれ。牛乳のソープランドってこと?