コロナ禍で格闘技界はどうなるのか 格闘技界一「熱い男」RIZIN榊原CEOインタビュー この状況で大会をやる事の意義とは
コロナ禍でイベント、コンサートが軒並み中止に追い込まれたり、縮小したりしました。格闘技も同様です。3月22日、K-1がさいたまスーパーアリーナで興行を敢行し物議を醸しました。
その後、東京、神奈川、千葉、埼玉、大阪、兵庫に緊急事態宣言が発出。これを受け、地上波で唯一放送をしている国内最大の格闘技団体RIZINが4月19日の大会を中止。
そして、8月9日、10日の2days。RIZINは「ぴあアリーナMM」で『RIZIN.22』『RIZIN.23』を敢行しました。客席を大幅に減らした大会でした。選手もコロナ禍のため外国人選手も呼べない中、全国的には無名の選手たちも奮闘。正直、盛り上がった大会でもあり、格闘家たちの「熱」を感じた大会でした。
前回同様、RIZIN代表(CEO)の榊原信行氏に、今後の格闘技界の展望と榊原氏の「熱」についてお伺いしてきました。(文・久田将義)
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●「コロナ対策はやれるだけの事はやりました」
――前回のインタビューは8月の大会前でした。そこから8月までにいきなり感染者数が増えたときがありましたよね。榊原さんご自身に動揺などありませんでした?
「感染者数が増えた事に対してはあんまり動揺はなかったですね」
――関係なかったですか。
「もちろん数が増えたことは大変ですけど、僕は基本的に『正しく恐れるべき』だと思っています。現状を冷静に見れば、政府が再度、緊急事態宣言を出すとか、5000人の上限からまた無観客にするとかっていうことはよっぽどの事が無い限り大丈夫だと。その数字は冷静に分析していたので、不安はそんなになかったです」
――8月の大会でしたが、正直、無名の選手が多かったですよね。だけど非常に内容が素晴しかったと思いました。総評的にはどうでしたか?
「選手たちもホントに頑張っていましたね。お客さんにはここまで厳格に声を出してはいけないとか、常にマスクをしてくださいとか、この暑いなかでそういうことを求めながらではありました。けど、選手は戦うことに、お客さんはライブを見ることに飢えていたからだと思います。この観戦ルールが100パーセント守られていたかというと若干疑問はありますが、お客さんたちには、そういうストレスを与えてしまったにもかかわらず、会場もすごく熱気があって盛り上がりましたね」
――あの大会を見て、僕は「社会における格闘技の意義」みたいなことを考えたんですけど。つまり感染者を格闘技の大会から出さないという。
「リングに上がる人たちは全員PCR検査をやるということ。観客に協力してもらうのはマスク、検温、消毒ですね。あとは厚生省のアプリのCOCOAのダウンロードを呼びかけたり、事前に名前や住所を登録してもらったりして感染者が出た際になるべく追跡できるような態勢を整えました。リング上を抗菌し、光触媒の菌を殺すための抗菌を施したりもしました。このコロナ禍でやれる対策は最大限やってはみたっていうところですね」
――そろそろ大会から2週間なので、感染者が出なければいいですね。
「RIZINの会場で感染したかのか、それとも来る途中の電車で感染したのか…というのも正直わからないんですけどね。もちろん最大限のことをやって、それでも感染する……クラスターが起きる場合もゼロではないかもしれないけど、やるだけのことはやったんで仕方ないというふうに受け止めるしかないだろうな、と。それでRIZINがコロナに対してルーズだって言われちゃうと困りますけど」
――僕はスカパーで観ていたのですけど、会場は換気がしやすい風通しの良いところではなかったですか? ドアを開けると幹線道路が見えて。
「そうですね、扉を開けて換気をしたんですけど、それで暑くて1日目はお客さんがうだっちゃって。だから難しいところです」
――これもしょうがないのかもしれないですけど、天心選手がリングに上がったときに大声を上げるお客さんがいました。そこは会場のアナウンスでと注意をうながして頑張るしかないですよね。
「そうですね。どうしても声が出ちゃうのは……」
(笹原圭一広報担当)「声が出ちゃう気持ちはわかりますけどね。場内アナウンスと係員が言って回るというのはやっていました」