パワハラで心を壊された女性が行き着いた「仕返しをしなくてはいけない」という境地 そして彼女は裁判にかけられた――

「以前はよく一緒に出かけたりしていたのに、そういうことができなくなってしまっていました。複数の種類の薬をかなり大量に飲んでいました」

彼女が逮捕される約2ヶ月前には、姉の元に六本木警察から電話がかかってきたこともありました。

「妹さんを警察で保護しています。死にたい、と本人が言っています。このままでは1人で帰すわけにはいかないので迎えに来てください」

という電話でした。姉はすぐに東京へ向かいました。

妹の心が壊れていることはわかっていました。妹が通院している病院の医師からは、

「ADHD、アスペルガー症候群、そしてそれに伴ううつ病です。今すぐに入院をする必要まではありませんが、サポートは絶対に必要です。できればお姉さんが近くに住んでサポートしてもらえたら…」

という話もされていました。

ですが、姉には姉の生活があり事情がありました。医師の言葉に納得はしていたものの、すぐにそのとおりに動けませんでした。

このことで姉を責めることなどできません。

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会社に行けなくなってから、彼女の心の中にあったのは怒りだけでした。

なんで自分だけがこんな目に?

現実はあまりにも理不尽で、そして不可解でした。

怒りの感情が抱えきれなくなった時、彼女は犯行を決意しました。

「怒りを抑えるためにやらないといけない、と思いました。仕返しをしなくてはいけない、という強迫観念にとらわれてやりました」

彼女が犯行に用いたのは3通のスマートレターでした。彼女は持て余した怒りを悪意に変えてスマートレターで送りつけたのです。