パワハラで心を壊された女性が行き着いた「仕返しをしなくてはいけない」という境地 そして彼女は裁判にかけられた――

1通目はかつて働いていた名古屋の医療機器メーカーの取引先へ向けて、当時自分にパワハラをした「ワタナベ」の名前で送付しました。

2通目は休職中の東京の医療機器メーカーに「死ね」と書かれたメモを同封して送りました。

3通目は東京のメーカーの取引先に向けて、やはり自分にパワハラをしていた「ヨシダ」の名前で送りました。

この3通のスマートレターにはそれぞれ小動物の死骸が詰め込まれていました。

 

心の壊れた妹を姉は救うことが出来たのか?

彼女は証言台で、スマートレターを送った時の気持ちをこのように語っています。

「嫌だったことが一気に蘇ってきて、『スマートレターを送らなくちゃ』って思いました。送ったら怒りは収まったんですが、でも時間が経つとまたふつふつと蘇ってきて…」

もしも逮捕されなければ、同様の犯行は際限なく繰り返されていたのかもしれません。

懲役2年、執行猶予3年。

裁判官がそう有罪判決を告げた時、傍聴席にいた姉は声を上げて泣き始めました。

わかっていたのに何もしてあげられなかった。

わかっていたのに助けてあげられなかった。

そんな、自分を責めるような気持ちがあったのかもしれません。

今後は妹を名古屋の実家に戻し、家族全員でサポートをしていくそうです。

今回の事件の被害者となった医療機器メーカー2社は、どちらもパワハラの事実は否定しています。パワハラがあった証拠も裁判では何も出てきていません。

名古屋のメーカーは

「退社の際に逆恨みのような言動があった」

と証言しています。

真実がどこにあるのか、それはもう当事者だけにしか知り得ないことです。(取材・文◎鈴木孔明)

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