都市伝説拡散の背景にヤンキー文化 最恐都市伝説『犬鳴村』の前にあった『地図から消えた村・杉沢村』の真実|久田将義

しばらくして停車します。何の目印もありません。マスターは「ここからは2人で行ってきてください」と言います。全く道がない雪中です。「ここで待っていますから。まっすぐ行けばいずれ着きます。小屋が目印です。その奥です」とのこと。膝まで入る雪の中を十五分くらい歩いたでしょうか。小屋が見えてきました。

さらに道なき雪中を進みます。すると、確かに小さな建物が見えてきました。そこへ行こうとすると、ヤバい事に吹雪いてきました。これ以上進むと、足跡が消えて帰れなくなってしまいます。ライターさんと僕はそう判断し、写真だけ撮って帰る事にしました。戻ると車内でマスターが新山嬢と話し込んでいます。「あったでしょ?」マスターがにこやかに聞きます。はい、何とか見つけました、有難うございます。

真・杉沢村の写真は「ダークサイドJAPAN」に無事掲載。その記事を読んだテレビ番組「アンビリーバボー」からライターさんに連絡があり、写真を貸したそうです。当時はデジタルではなく紙焼きでしたから貴重な写真なのですが、それっきり返却がなかったそうです。

ヤンキーの情報力、特に地元における都市伝説・オカルト伝説に関してはかなり重要度があります。現在ではツイッターなどで地元の情報はまたたくまに広がります。地元のヤンキーかその周辺の人間が書き込んでいるのでしょう。

因みにですが、少年犯罪の場合、ヤンキーネットワークから地元の情報はかなり出回るのが近年の犯罪の特徴です。ネットが発達していない時代と違うのは、有象無象さが増大した事でしょう。

都市伝説の拡散にはヤンキー文化が大いに関わっている事を実感した「真・杉沢村」取材でした。都市伝説好きの方には、もし、コロナ禍が静まり、地方に行く事があったら、是非地元のスナックやキャバクラを訪ねる事をお勧めします。そこでしか聞けない怪しくて魅力的な情報が聞けるでしょう。

ついでに、前記したように青森取材と兼ねて北海道取材に行ったのですが、北見市のキャバクラでは「ふみの家」(漢字忘却)と呼ばれる、殺人現場がそのままになっているという話も聞けました。(文◎久田将義)

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