「隠れキリシタン」の名宝が東京近郊にもあった!? どうやって作ったのか分からない謎の遺作たち!
こちらは薬壷を手にしている姿から、薬師如来の像だとわかります。しかし、台座と像を離してみると、なかから十字架が現れるのです。仏像に手を合わせるふりをして、その向こうのキリストの姿や十字架に祈りを捧げていた隠れキリシタンの、秘密で敬虔な心が見えてきます。
こちらは、正面から見れば韋駄天像ですが、背中にキリストの姿を背負っています。この韋駄天はもちろん、これまでご紹介したものは、仏像として素晴らしい作品です。ここでよく考えてみましょう。隠れキリシタンの祈りの対象となるものなので、これを製作したのは当然、仏像を作る仏師ではなくキリスト教徒なのです。仏像製作のノウハウなど持ち合わせているはずのない、キリスト教徒が丁寧に仏像を彫り、さらにキリスト教のモチーフをたくみに隠すという、とてつもない技術でつくられているのです。
そうした、隠れキリシタンの遺した品々の中でももっとも驚くべきものが、この記念館には所蔵されています。