次も見に行っちゃおうかな!(「炎上上等」より)
大西健介議員の国会での発言で名誉を傷つけられたとして高須克弥院長が1000万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求めて訴えた、という出来事を覚えている方はいるでしょうか?
大西議員は平成29年5月17日の衆院厚生労働委員会で悪徳な美容外科の広告や勧誘の問題を追及していました。その質問の中で、固有名詞と連絡先だけを連呼するような業者のCMを陳腐だと言い放ち、その陳腐なCMの例として「イエス! まるまるクリニック」と発言しました。
高須院長側は「発言が『イエス! 高須クリニック』を指すことは明らか。陳腐なCMを行っているというレッテルを貼られた」と訴えました。
この裁判は平成30年4月23日、東京地裁が名誉毀損を認めず高須クリニック側の訴えを退けたことで終わりました。
......終わったはずでした。
しかし高須院長は判決後すぐに西原理恵子さんが書かれた自身のイラストの画像とともに、
「即日控訴!」
とツイッターで宣言。この不毛な争いの舞台は高裁へ移ることになったのです。
発言の意味が分からない高須院長の応援団
この控訴審の判決公判を傍聴してきました。
傍聴するまでもなく結果はわかっていたのですが、時間がたまたま空いていたのです。
この日は11月1日、偶然にも西原さんの誕生日でした。公判の直前、高須院長がツイッターを更新しました。
「癌治療日と重なったので法廷に出れなくなった。勝訴したらくま(絵文字)の誕生日とダブルで祝うつもりだったので残念なう」
残念ながら高須院長は法廷にはいらっしゃいませんでした。西原さんの姿もありませんでした。もし西原さんがいたら法廷の外でサインをもらいたいと思っていたので残念でした。
民事裁判の判決公判はあっという間に終わります。
果たして高須院長はダブルで祝うことができたのでしょうか?
「請求を棄却する。なお、訴訟費用は原告の負担とする」
NO! 高須クリニック!
地裁に続き高裁でも高須クリニックは負けてしまいました。ダブルお祝いの目論見は崩れて西原さんの誕生日のみでのお祝いが確定しました。
というか、まさか勝てるとでも思っていたのでしょうか?
この判決を受けて、高須院長はすぐツイッターを更新しました。
「最高裁の即時抗告なう」
もう高須院長はツイッターをやめた方がいいです。ツイートしすぎだし、政治的な発信は見るに耐えません。
ともあれ、この争いは最高裁に持ち込まれることが決まりました。訴訟費用の負担が原告とされたことだけがせめてもの救いです。
さて、高須院長の即時抗告ツイートにはたくさんの読み応えのあるリプライが寄せられていたので一部紹介します。
「韓国の裁判所と同レベルだな...」
「向こうの大物が手を出したのでしょうか?」
「裏で汚いやつがおるとみえる」
「これがもみ消しってやつですね。負けないで」
彼らが一体何を言っているのかはよくわかりませんが、おそらく高須院長を応援しているのだと思います。
「裁判員たちって庶民の感覚とかなりずれてるよね。選挙の時に落とせばいいんですよ」
こんなアドバイスされている方もいました。裁判員は全員庶民そのものなのですが...。裁判所の判決を支持している僕は庶民の感覚とかなりずれているようです。
おそらく裁判官と書きたかったのだとは思います。そこはともかく、高裁の裁判官を選挙で落とすとはどういうことなのか詳しく話を伺ってみたいものです。国民審査という制度はありますが、あれはたしか最高裁の裁判官を罷免できる制度ではなかったでしょうか?
「裁判長はどなたでしょうか?」
と鼻息荒く問い合わせている方もいました。この方がそれを知って一体何をどうするつもりなのかは謎です。
これは法廷に、しかも最高裁まで持ち込むような案件ではないです。大西議員も、もう一言謝っちゃえばいいと思うのですが...。
個人的な意見ですが、この裁判は原告被告どっちも負けです。こんなことを法廷で争うという行動そのものが「陳腐」だと思います。(取材・文◎鈴木孔明)
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