危険ドラッグ密輸容疑...あのネット有名人はなぜ逮捕されたのか

2014年09月02日 ネット有名人 危険ドラッグ 密輸容疑 脱法ハーブ 逮捕

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インターネットの歴史に欠かせない人物が指定薬物輸入で逮捕!

 

 古い知人の吉野健太郎氏が逮捕された。容疑は指定薬物(危険ドラッグの原料・α-phpp)5kgを中国から輸入し、各地の業者に販売したというもの。他にも3名ほど逮捕された人間がいるようだが、どういう素性かといった詳細は不明。

 九州の麻取が動いていたという事については、現在中国ルートで覚せい剤などを輸入する場合、沖縄を経由される事が多いので、そこの網に引っ掛かったのではないかと予想される。

 また薬物にめっぽう強い草下シンヤによると、5kgという単位はあまりにも大きすぎ、下手をすると一発実刑もあり得るとのこと。個人使用であれば懲役1年半の執行猶予3年辺りで済むが、商用と看做された場合は2年の4年、ないしは猶予付かずの可能性まであるという。

 今回逮捕された吉野健太郎という人物がいかなる人間かというと、だいぶ古い話になるが、裏ツールやグレーゾーンソフトの輸入・製造・販売を得意していたプロジーという会社があった。代表はとある物質が検出されてしまったため、メディカルチェックをパスできず宇宙飛行士になり損ねた事で有名な榎本大輔氏。西村博之氏(いわゆるひろゆき)らが在籍していた事でも知られているが、このプロジーがエッヂに吸収合併されて誕生したのが、かのライブドアである。ある意味で日本のネット黎明期の最大の暗部に位置していたと言えるかもしれない。

 このプロジーから独立し、コンセプトエンジンという会社を立ち上げたのが吉野健太郎氏だ。彼は日本のインターネットの歴史に必ず名前が出される人物であり、裏ニュースの中の人だったり、裏ツールシリーズ(書籍)を大ヒットさせたライターだったり、連邦というモンスター個人サイトの管理人だったりする訳だが、個人がネットでビジネス展開する "初めの一歩"を踏んだ男だったと称しても良いだろう。

 彼は自身がモンスターサイトの管理人というだけではなく、仕掛け人や総会屋的な一面も持っていた。ネット上の面白い人材をいち早く拾い上げ、モンスター個人サイト群を形成していたのだが、その中でも特に有名なのは「ちゆ12才」だろう。

 私は彼にずいぶんと世話になり、2001年頃にちゆ12才と侍魂をモチーフにしたAVを作るという企画を動かしている中で知り合った。それ以来、事あるごとに吉野氏から「インターネットってなあに?」「インターネットってどう使ったら面白いの?」という部分を学ばせていただいたので、言ってみれば私にとってネットの先生だった人物である。

 さて、そんな吉野氏は最近まで合法ハーブ(危険ドラッグ)の販売を生業としていたようなのだが、危険ドラッグに対する締め付けが強化された事もあり、販売・輸入事業からは撤退を考えていたようだ。

 親しい人間への取材によると、吉野氏はハーブの輸入をする際に、麻薬・指定薬物ではないか検査機関で調べるといった手段を採っており、さらに今はもうハーブや原材料の輸入等は行っていなかったのではないかとのこと。

 ところが、今回の逮捕容疑は 「指定薬物5kgの輸入」である。だいぶ話がおかしいのだが、逮捕の報道が流れた直後に、ほんの3日ほどで吉野氏が出て来たという情報が入って来た。5kgもの指定薬物を輸入した疑いがあるのに3日で出されるというのは、ちょっと有り得ない。危険ドラッグの中国ルートの詳細など、もし容疑が事実であれば警察が調べたいであろう情報は山ほどあるので、これほど早く表に出れる訳がないのだ。考えられるとしたら、吉野健太郎が "シロ" であった場合のみだろう。

 現在は本人と連絡が取れていないので「未確認である」と言わねばならないが、周囲の人間への取材結果からすると、吉野健太郎は危険ドラッグ規制を強めたい警察によって、著名人として名前を使われただけではないかという疑念が生じてしまう。

 まだ捜査状況が見えて来ていないので突っ込んだ話は出来ないが、もし仮に吉野氏が潔白であったとしても、彼が危険薬物の輸入で逮捕された(=クロである)という報道は広まってしまっている。警察からすれば、この時点で目的(脅し)は達成出来ているという訳だ。

 近い人間の話なので、この件については続報が入り次第また書かせていただこうと思う。

Written by 荒井禎雄

Photo by Nicolas Alejandro Street Photography

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実録ドラッグ・リポート

不可解な経緯。

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