一体、何が起きているのでしょうか日馬富士の暴行――。日馬富士はビール瓶殴打を認めたという報道のあと、同席していた白鵬が否定。が、貴ノ岩の頭の怪我、頭蓋骨骨折はいかに力士の掌底が凶器になり得るとは言え、「凶器」がなければ「ない」状況ではないでしょうか。
どちらかが、嘘を言っているのでしょうか。記憶違いをしているのでしょうか。あるいは......相撲協会の意向でしょう。
しかし、もう一つの診断書が出されました。「骨折はなかった」というものです。これは日馬富士にとって非常な、有利な要素です。
現場で何が起きたのかは、事情聴取で明らかになるでしょう。現段階では、推測しか出来ませんが......。
白鵬「もう俺たちの時代じゃないな(笑)」
鶴竜「そうだな、俺も休場だし(苦笑)」
貴ノ岩「そうですよ、先輩、もう俺たちが頑張りますよ」
日馬富士「ちょっと待てよ。さっきから態度おかしいぞ」
貴ノ岩「はあ。あ、スマホが。ちょっとすみません」
日馬富士「ああ? お前から話振っといてふざけんなよ! さっきからムカつくんだよ!」
みたいな流れで暴行をふるったのでしょうか(あくまで推測です)。
今、問題となっているのはこういった流れの後の振る舞いです。既に、この件は「逮捕が前提の刑事事件」として、鳥取県警が捜査しています。相撲の世界を超えて事件としての様相を呈しました。日馬富士が「ビール瓶で殴打したか、しない」は大きいです。
例えば一般人の喧嘩でも、素手だと喧嘩両成敗に警察はします。しかし時計が相手に当たったりしたら、取り調べの態度は一変します。加害者・被害者として取り調べます。相手が示談しようとも被害届を出させるようにします。
つまり、ビール瓶は非常に今回の案件では重要になってくるのです。目撃者が8人ぐらいいた中で、同席していた人が詳細に語っている事を、覆させる証言を日馬富士は発せられるのでしょうか。担当になったテレビタレントも兼ねる北村弁護士のディレクションがどのようにするのか、が注目でしょう。
15日「グッデイ」(FNN系列)で相撲レポーター横野レイコ氏が、伊勢ケ濱親方と日馬富士が貴乃花部屋に「お詫び」に行った際貴乃花親方が乗っていた車が、無視するように去っていたのを見て「先輩力士に失礼」という旨を言いました。MCの坂上忍は暴力反対の立場から、顔をしかめ「横野さん。それはさすがに......」と。たしなめようとしました。
横野氏を例に出しましたがこのように露骨に相撲協会側に立つコメンテーターがいます。ちょっとこの人は露骨すぎですが。この「事件」報道はどちらの立場に立って発言・報道をしているのかが重要です。
貴乃花親方は八百長疑惑騒動で相撲人気が地に落ちた際、彼の部屋だけは「ガチ勢」として他の部屋からは一線を隠していました。親方になってからも、サポーター制を導入したり、改革派です。
貴乃花にとって貴ノ岩は弟子であると同時に、人様の子ども預かった責任があります。実質、部屋にいる間は子供同然として接します。子どもをビール瓶で殴られボコボコにされたあっては、その怒りの度合いが想像がつくというものです。
改革派の貴乃花は「以前の八百長疑惑。そして、最近は朝青龍の暴行や時津風部屋の事件がある。まだこんな事をやっているのか。しかも俺の弟子(子供)にこんな事をやりやがって」という筋の通った怒りを抱いています。
しかし、相撲協会守旧派は貴乃花の改革を快く思っておらず、従って「貴乃花大人げない説」が出てくるようです。「このコメンテーターは誰の代弁者なのか」を見極める事が視聴者にとって大切です。
とはいえ、貴乃花も現役時代の奇行。宮沢りえとの突然の婚約からの破棄、整体師との洗脳騒動、兄・若乃花(当時)との絶縁などパーソナルに疑問を投つけられてきました。そういう長年の評判が、貴乃花悪者説の理由になっている事は否めないでしょう。
いずれにせよ、「怒りの貴乃花」が被害届を出さない限り、通常の警察捜査は逮捕、送検。そしてこの件は恐らく不起訴か略式起訴で和解金で終わると、今のところ予想します。その場合、既に横綱審議会のメンバーが言っているように引退というケジメを取る事になりそうです。
しかし、相撲ブームに水を差したのが、相撲ファンにとっては本当に痛いでしょう。「お相撲さんは優しくて力持ち? いやいやそれどころか怖いじゃん」と。相撲協会は一体、誰を守って、どちらを向いているのでしょうか。(文中敬称略)(久田将義)
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