【改正風営法】浄化作戦によって歌舞伎町から『影』は消えたのか?【無機質になりゆく新宿】

2018年01月25日 

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違法風俗が跋扈する街。いまの歌舞伎町をひと言でいえばそうなるだろう。「え? 歌舞伎町ってそういう街じゃないの」と思う人もいるかもしれないが、『不夜城』や『新宿鮫』などの小説で描かれるほどには、危険ではないし、実のところ良くも悪くも調和が取れていた場所ではあったのだ。これまでは......。

ところがここ数年、その良き風習は崩れ始めている。そのきっかけが、1999年から2012年までの長期政権となった石原慎太郎都政にあることは間違いない。

当時、チャイニーズマフィアの台頭が話題になったように、中国人による違法行為が歌舞伎町では多発していた。これに対し石原知事は"浄化"という強い姿勢で臨むことを決意。その陣頭指揮をとったのは、警察庁から出向して副知事の座にあった竹花豊氏だった。

その結果、マフィアの資金源の一部になっていた中国エステ(実質は売春店)などは根こそぎ駆逐される。ところが、その余波は中国人系の店舗だけにとどまらず、日本人が経営する風俗店も直撃したのだ。
具体的に言えば、そのころ、風俗ファンには絶大な人気があった性感エステやイメクラ、それに性感の名を冠したファッションマッサージなどだ。そしてそのほとんどが、風俗通の間では「優良店」として知られていた店だったのである。


浄化状態は強く維持されている


側杖を食った形となったこれら「優良店」は歌舞伎町から強制退場させられたのだが、だからと言って性風俗が一掃されたワケではなかった。そのほとんどが1999年にふたたび大幅改正された風営法で届け出が認められた、派遣型風俗へと鞍替えをすることになっていく。

この竹花流の荒療治が歌舞伎町に与えた影響は強く、現在に至るまで歌舞伎町の浄化状態は強く維持されている。というのも、警察には先人が残した「業績」は守るという伝統があり、竹花氏が残した歌舞伎町の業績を後輩たちは連綿と守っていく。これは一種の義務でもあり、横浜・黄金町のちょんの間を壊滅させた、当時の県警本部長の業績を神奈川県警が後生大事に守っているのもそうだ。もっとも、警察庁生活安全局長という役職で退官し、某大手家電メーカーに天下った竹花氏がその「業績」に見合った待遇、と納得しているか否かまではわからないが......。

とまれ、石原都政以前に百花繚乱の如く咲き誇った店舗型風俗は、1985年の新風営法以来の老舗を除いてすべて消え去った。そして、その一部が前述したように派遣型風俗へと鞍替えしたわけだが、その時期から届け出をしない(というより出来ない)違法風俗が歌舞伎町には目に見えて増加した。

イメクラや性感の台頭で鳴りを潜めていたホテトルもそうだし、それ以上に「援デリ」というSNSを使った"援助交際型"風俗が登場した。特に「援デリ」は歌舞伎町風俗のメインに躍り出そうな勢いである。が、一見援助交際を装ってはいるが、援デリが事実上は一種の管理売春であることに違いはない。

確かに表面上、歌舞伎町は浄化された。

しかし、80年代の亡霊のような深刻なぼったくり店は横行し、風俗で働く女の子たちはセキュリティー面では「?」が付く営業形態に仕事場を求めざるを得ない。客にしたって同じことだ。歌舞伎町浄化の是非は、いまいちど厳しく精査されるべきではないだろうか。


取材・文◎鈴木光司

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