西山茉希の元事務所社長のように『嘘でお金を取る人たち』にまんまと払ってしまう人間とは|文◎春山有子

2018年01月29日 

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1月5日に覚醒剤取締法違反(使用)で逮捕されたことが1月22日に発覚した、西山茉希の前所属事務所社長・池田啓太郎容疑者ですが、1月24日付けの東スポによると、彼は以前、「高岡早紀や加護亜依、ソニンらが出演するセクシー映画の話を持ちかけ、それを信じた制作会社との間で代金約1億7千万円を巡って訴訟沙汰になった」ことも明かされています。

これ、当時、界隈では有名な話でした。わたしが聞いたところによると、高岡早紀主演の映画『モンスター』(2013年公開)の、「未公開の激しい濡れ場をDVD化する」とか、「ついに加護ちゃんのAVデビューが決定した」とかで、AVメーカー大手のS社が、ブローカーに着手金1億5千万円を渡したところで「話がぽしゃりました」で、同社取締役が降格だか減給だかになった、と。
まだ出演者本人とも面談していない段階で、よくそんな大金がポンと払えるなあと思ったものですが、そういえばわたしも、「いかにして金をむしりとろうか」と虎視眈々と近づく虚言人に遭遇したことがありました。同時期に3人も、しかも「S社、あほだなあ」なんて思ったのも束の間、わたしってばお金渡しちゃっていたじゃないの......(恥)。

今から約10年前、発端は、当時所属していた編集部宛てにかかってきた電話でした。

「歌手の◯◯が覚醒剤をやっているというネタがある」

 「以前、大物歌姫のマネージャーをしていた吉田」と名乗るその男を、隣の編集部の先輩に確認すると、「知っている。昔、歌姫の秘蔵写真を提供してもらったことがある」と言い、さらに他編集部の人も、「昔、ネタをもらったことがある。話だけでも聞いてみれば?」と言います。
編集長の判断を仰ごうにも、国外にて休暇中。いつもヘマばかりして怒られているわたしだけど、帰国した編集長に「やるやん!」と褒められたい。ようし、ここはいっちょうかましたるで! と独断で彼と会うことにしたのです。

場所は都内某所のカラオケボックス。待ち合わせ場所に現れた吉田は、肌を適度に焼いて白目のギラついた推定30代。部屋に入ると、「◯◯がシャブをやっていて、××の△△もやっている」と、有名人の名前をポンポン出し、「3万でいいです」と続けます。えっ、いまここで、お金を払うの? そういう仕組みなの? っていうか3万円も払うものなの? 編集歴の浅かったわたしは、恥ずかしいほど無知でした。

「いや、3万円はいまは持っていなくて......すみません。払えないです......」
「ネタあげたじゃないですか。じゃあ1万円でいいですから。早く、早く」

ずいずいと迫りくる恐怖に圧倒されつつも、本当にお金がなかったので、「じゃあ次回!」とまるく収めたつもりでカラオケ店をあとにしたのです。

その「次回」は早くも数日後に訪れました。編集長はまだ国外。「もっと大きいネタがある」との電話がかかってきて、しぶしぶ出向いた先は五反田の路上。で、「◯◯がシャブをやっている。××が乱交パーティーに参加している」とかペラペラと喋り、「前回の分が未払いだから5万」と言います。白目のギラつきは数日前より増し、夏でもないのに汗だくで挙動がおかしい。怖い。

「あそこで金をおろしてくればいい」

目の前のATMを指さされ、わたしは「は、はい......」と操られるように頷くと5万円をおろしていました。まだ家賃も払っていないのに。

「り、領収書を書いてください」

そんなもの経理で精算できるはずがありませんが、精一杯の抵抗(?)として領収書を差し出すと、殴り書くように「吉田正樹」と書き、5万円をふんだくるようにわたしの手から受け取ると、「これからそこのハプバーに行くんです」とヘラヘラと笑いながら汗だくで去ってゆきました。
家に帰り、虚無感と自らの弱さに悔しさを覚え、枕を濡らしたものです。

そして、編集長が帰国。今度は、とても信頼している先輩が何度か取材したことがあるという、芸人のカキタレ女性を紹介してもらうことになりました。3人で会ったときの、先輩の軽妙なネタの引き出し方たるや! わたしもこのくらいできたら、編集長に「やるやん!」と認められるかも......と下心を抱き、翌月、その女性と2人で会う約束を取り付けました。
先輩のようにうまいこと話を弾ませるコミュ力は持っていないけれど、精一杯真似をして聞き出した話が絶妙で面白いこと面白いこと。
「◯◯が池袋のデブ専風俗に通っていてサイン色紙が飾ってある」とか、「××は鬼畜ドSで女の子を土下座させるのが趣味」とか、合間に「あ、いま芸人の△△からメールが来た。写真も送ってきたし」と言い、芸人の写真を見せてきたりする中で、もっともホットだったのが、

「国民的アイドルS・Sクンが大麻を吸引中の写真を持っている友達がいる」

という話。これまでと違い、写真という証拠があるのはすごい。少し前にO野クンの写真が週刊誌に掲載されたこともあり、「わたしも一流記者の仲間入り!」とあほみたいに胸踊らせました。

数日後、写真をくれるというので改めて彼女と会うと、彼氏だという男性と現れ、板橋区の居酒屋で2時間飲み食い。なんでも彼女の就職が決まったとかで、某有名病院のカウンセラーにヘッドハンティングされたとか、IQ200以上あるとか明かしはじめるではありませんか。あほなわたしでもさすがに違和感を抱きましたが、Sクンの写真をくれるのだから目をつぶります。

「で、写真は......」

2時間をすぎてようやく切り出すと、「ああ」と今思い出したように言い、「その写真を撮ったRちゃんにメール送っているけど、あと1時間で来るって」。で、1時間がすぎると、「今日は来られないみたいだから、Rちゃんの連絡先を教えます」と言うので、彼女に謝礼を渡しました。2万円。

翌日、Rちゃんに電話をするとすぐに出たので、「昨日のSクンの大麻写真は......」と言うと、「はあ?」と本気でわけがわからない様子。経緯を説明すると、少し無言ののち、こう言いました。

「それ、あいつに騙されてますよ(笑)」

その日から、カキタレ女性と連絡が取れなくなったのは言うまでもありません。そして枕を(以下略。数カ月ぶり2度目)。

それから時を空けず、今度は元々顔見知りだった同年代フリー編集者と酒の席で意気投合。「富士山の麓で行われるレイブはタマ食ってぶっ倒れてる奴や私服警察ばかりで面白いから行ってネタにしましょう」と誘われました。

わたしって本当にドラッグに弱いですよね、「もちろん行きます!」と意気込み、音楽への興味ゼロなのに1泊2日のレイブに参戦。「友達も一緒」だという車に乗り込むと、男女1名ずつがいました。女性は大手出版社の契約社員とかで、ダサいわたしを2日間あからさまに完全無視していたことは、いま思い出しても胸がチクリとうずきます。

さて、会場に到着すると、入り口で係員が「1人1万円です」と言います。同行女性がさっさと払い入ってゆくのでわたしもついていこうとすると、フリー編集者が「ですって」とわたしに言います。
「?」
「だから、1人1万円、ですって」
ああ、これはわたしに払えと言っているのだな。ここでまごついたらさらにダサい奴だとバカにされる。そう思い、「あ、は〜い。ネタにするんですもんね」と軽快に返事をしてなぜか同行男性分も払いました。3万円。お察しの通り、会場にはぶっ倒れてる人も私服警官もおらず、そもそも音楽に興味ないし、真冬の富士山の麓で極寒と眠気と戦っただけでした。

後日、彼が「ジャッカスみたいな映像を撮るから来てほしい」と電話を寄越しましたが行くことができず。すると夜中3時頃、わたしの家の近所までやってきて、いかにすごい仕掛けを作るか語り、「みんな寄付してくれた」と言います。わたしは、「行けなくてごめんなさい」と言い、1万円を渡しました。枕(略。数週間ぶり3度目)。

この時期、わたしは心身ともに弱り果てていた頃でした。風邪にたとえるとわかりやすいのですが、免疫力が弱っていると、どんどんウイルスが寄って来て風邪が悪化しますね。それと同じようなことが、このときに起きていたのかな、と今は思います。弱った心身につけこもうと悪い輩が寄ってきたのかな、と。

事実、回復後は吉田から電話があっても「嘘ですよね(笑)。それに偽名だって知っていますよ」と言えたし、カキタレ女性に電話して「嘘だったらしいじゃないですかー(笑)」と言い「あのときはわたし、おかしかったんです」と白状させたし、フリー編集者からの電話には出なくなりました。

そんなの簡単なことじゃん、っていうかなんでそんな怪しい人に簡単に金を渡すの? と健康体の今では思います。でも弱った心身では判断能力が鈍るんですね。いま、おかしいなと感じながらもお金を渡そうとしている方がいたら、わたしのあほみたいな体験談を読んで、どうか、踏みとどまってほしいです。

わたしのように、約10年、引っ越しても追いかけてくるア◯フルからの催告状に怯えぬように......。

そして当時の編集長ことTABLO副編の岡本タブー郎さま、本当にすみませんでした(恥)。


文◎春山有子

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