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ネットがファミマ土下座事件などで盛り上がっていた9月11日に、驚くべきニュースが飛び込んできた。 今の日本で最も無茶をやる暴力団として恐れられている北九州を本部とする特定危険指定暴力団工藤会の野村総裁が、福岡県警に逮捕されたというのである。
工藤会はカタギであっても殺傷すると言われており、指定暴力団ではなく目警察庁から「特定危険指定」されている事からも、その危なさが分かるだろう。ネットスラングで北九州が「修羅の国」呼ばわりされる最大の要因になっている組織の一つだ。
野村総裁の容疑は、16年前の平成10年に起きた地元漁業組合の元組合長が射殺された事件に深く関与していたというもの。 また同じく工藤会の田上会長も同容疑で指名手配中になっている。
今回の一件は、平成10年以来続いて来た漁業権や土木利権を巡るイザコザであると言われており、過去に何度も下部組織の組長・構成員らが逮捕されていた。2002年の判決では、工藤会の下部団体の組長2人の有罪が確定し、その際に土木利権への介入を跳ね除けられた報復であると断定されている。
また、この地元漁業組合を巡る血なまぐさい騒動は根が深く、昨年12月に元組合長の実弟の漁業組合長が自宅近くで射殺され、今年に入ってからは孫が駐車場で刺されて重症を負うという事件が起きている。 これらの事件に共通しているのは、殺害された2名も重症を負わされた男性も地元の利権に深く絡んでいる名士一族であるという点で、福岡県警はすべて工藤会の犯行であるとして捜査を続けていた。
この一族には県警も注目しており、今年6月には空席になった組合長のポストに立候補する予定だった一族の男性が、とある件で逮捕・起訴されている。 この男性は工藤会の幹部と養子縁組しており、いわゆる黒い交際の尻尾を掴まれていた。 そのため県警が「彼が経営する会社を公共事業から外すように」と、県や市に対して通達していたようだ。 なお、この男性は組合長への立候補を辞退した。
とにかく「やり過ぎる」事で有名になってしまった工藤会は、アメリカからも「日本で最も凶暴なテロ組織である」と認定されているほどで、福岡県警も本気で壊滅へ向けて動いている。 今回の捜査には県警の警察官・職員の30%に及ぶ4,000人弱という大人数が動員されているというから、その本気の度合が解るというものだろう。
工藤会の野村総裁らは様々な容疑を否認し続けているが、ここまで派手にやらかしてしまうと県警も退くに退けないだろう。一日も早く治安を回復し、ネット民に「修羅の国」などと軽口を叩かれない平和な土地になって欲しいと願う。
最後に余計な事を書くが、福岡県だけではなく、暴力団が漁業権やその周辺の利権に食い込もうと画策している件はいくらでもある。私が直接現地取材して得た情報だと、東北の震災被災地の漁業権や土木利権を巡る攻防は、危険度の高さの割に殆ど報道には乗っていない。まだ人が死んだという情報は聞いていないが、九州以外の土地であっても他人事では済まないかもしれないのだ......。
Written by 荒井禎雄
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