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暴対法や暴排条例で悪質キャッチ増加...繁華街の治安対策への提言 by久田将義

2014年09月01日 久田将義 悪質キャッチ 提言 暴対法 暴排条例 治安対策 繁華街

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 暴力団対策法(暴対法)、暴力団排除条例(暴排条例)によって繁華街の治安が良化したという人がいるようだが、そうだろうか。

 東京・六本木を歩いていた。ロアビルの前には黒人が所在なさげに七~八人、たまっていた。二~三人のグループはよく見るがその倍以上という人数は珍しい。大集団は初めての光景だった。

 同じく東京都内、いや東洋一の繁華街、歌舞伎町。街中の通りには何人ものキャッチが、通行人を見定めしている。大体が、ぼったくり(法外な料金を取る)の飲み屋か裏DVDの販売目的である。

 歌舞伎町を囲む四つの通りがある。小滝橋通り、職安通り、明治通り、そして靖国通り。靖国通りは新宿駅から近い為、サラリーマンやOLが気軽に入れる居酒屋がたくさんある。歌舞伎町の中でも、「安全地帯」である。いや「あった」と過去形にしておく。ここにもキャッチが横行する。

 靖国通り沿いの店はキャバクラや風俗店などなく、いわゆる一般的な飲み屋が多いのだが、その飲み屋や居酒屋のキャッチである。そのキャッチについていくと数少ない料理と酒だけで、それなりの金額を払う事になる。客も微妙な値段設定なので「ボッタクリ」と断言できず、そのまま支払ってしまうケースが多い。

 こういった、キャッチの存在は街で飲もうとする客にとっては、かなり危険だ。僕の知り合いは一晩で百万円近くの金額を支払った。また、しつこくつきまとうので、振り切ろうとすると罵声を浴びせてくるキャッチもいる。

 暴力団の存在を肯定する訳ではないが、石原慎太郎都知事時代は各暴力団が繁華街を「地回り」と称して集団でパトロールしていた。パトロールの際は、キャッチは姿を消して集団が通り過ぎるのを待つ。

 客にとっても暴力団の集団さえ避ければ、安全に飲食できる街だったのが歌舞伎町である。六本木も同様だ。恐らく大阪・宗右衛門町なども同様だろう。暴力団の繁華街における「力」は隠然としてあるが、暴対法、暴排条例によって大っぴらに活動できなくなった。その隙間を縫って活動し始めたのが関東連合や怒羅権といった暴走族OBの集団である(どんな法や条例を作っても人間社会が存続する限りなくならないだろう。形を変えもアウトローは存在する。それが人類の裏面史だからだ)。

 警察庁が関東連合や怒羅権、その他暴走族OBたちを想定して付けた「準暴力団」なる呼称を発表して、しばらく経つ。当初は逮捕例を作ろうという目的か、いくつかの暴走族OBを摘発し、記者クラブでも「準暴力団」という単語を用いていたが、最近はこの呼び名をあまり聞かない。暴力団取り締まりの次は、準暴力団を取り締まろうというのだろうが、準暴力団は組織化していない。つまり暴力団のように事務所もなければ組長(?)もいない。構成員も分からない。

 暴対法と暴排条例で、徹底的に締め付けた結果、組織には属しているが名簿から外された人間が増えただけで、より取り締まりにくくなったという現場の警察官の声も聞く。

 準暴力団は組織的にではなく個々に活動を続けており、それが危険ドラッグの蔓延にもつながったと思う。薬関係での暴力団のシノギは覚せい剤が主であり、危険ドラッグは準暴力団の主な稼ぎの一つだった。

 2012年9月、六本木フラワー事件を契機として、都内では関東連合や怒羅権の活動も沈静化されたように見える。しかし、郊外に行けば準暴力団とみられる勢力は以前、活動を止めておらず、結局、治安は以前より悪くなったように見える。繁華街の外国人キャッチもよりタチが悪くなった。 

 歌舞伎町では区役所通りからゴールデン街の入口まで10メートル以上、しつこく声をかけてくるキャッチもいる。暴対法、暴排条例施行以前では考えられなかった事態だ。日本警察の繁華街における治安対策は、根本的に間違っているような気がしてならない。

Written by 久田将義(東京ブレイキングニュース編集長)

Photo by Japanexperterna.se

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