2018年1月26日、バンコクでのLenovoゲームイベントにて
AKB48の海外姉妹グループでタイ・バンコクを拠点に活動するBNK48については何度かお伝えしましたが、今年に入ってタイの大物芸能人が2ndシングル『恋するフォーチュンクッキー』の踊ってみた動画をSNSに相次いで投稿したことから今、知らない人はいないぐらい全国的な大ブームの真っ最中となっています。
ちょうど2月12日でグループ初披露から1周年を迎えたそんなBNK48のキャプテンを務めるのは、チャープラン(21)。彼女は日本語が多少でき、元コスプレイヤーという顔の一方、難関大学の国立マヒドン大学国際学部化学科4年生で、英語で化学を学ぶ超才女でもあります。
タイでは一般的に、自立して何でもできる女性が男性からも女性からも理想の女性像とされているため、チャープランはBNK48のメンバー26人中でぶっちぎりの一番人気。彼女のサイン入り生写真がオークションで7万7千バーツ(約26万5千円)の値で落札され新聞にも取り上げられたことがあることからもその人気ぶりが窺えます。
囲み取材を受けるチャープラン。2017年11月10日、東京都内Gushcloudオープニングイベントにて
2017年11月11日、新宿三丁目でのBNK48 Facebook Live公開生放送にて
チャープランの才女ぶりがよく伝わる話があります。昨年11月に英国王立協会のオープンアクセス誌"Royal Society Open Science"に大学教授や先輩と連名で英語論文を投稿し掲載されたのです。論文はブルーボトル反応(酸化還元指示薬が触媒となった酸化還元反応)の実験に関する内容で、筆者は頑張って読もうとしましたがチンプンカンプンで挫折しました。
2月8日になって、タイの科学技術大臣がこのことに言及したと新聞Matichonが報じています。チャープランが執筆に参加したこの論文を称賛して、歌手としての才能が今非常に人気を博している他に、理系で科学分野を学ぶ優秀な大学生であることが、子供達が科学に興味を示すきっかけになっていることで社会に貢献していると語ったのです。
さらに大臣は「この子は非常に興味深い。子供達が科学に興味を持つきっかけを作る役割として科学技術省の行事への参加をお誘いしたい」と、科学技術省としてチャープランをいわばイメージキャラクターにしていきたいという意向を示したのです。
右から3人目。2018年1月21日、バンコクでのShellのイベントにて
チャープランは昨年来日した際、11月13日に出演したFM TOKYOの番組『TOKYO FM WORLD』で将来のビジョンを尋ねられ、「今まで科学についてあまり話せるアイドルはいませんでした。タイには科学について語る有名人がいません。私はそういうことをもっと話せる女性になりたいです」と語っています。
番組DJから「他の国でもいないですよね」とツッコミが入っていましたが、もし科学技術大臣が本当に起用してくれたら、チャープランの夢が一つ叶うことになるのでしょう。
AKB48ファンが高じて、アイドルというものがどんなものか自分自身を使って実験して経験してみたいというリケジョぶり全開の動機からBNK48のオーディションに応募したチャープラン。体当たりな実験の先に夢を掴む人生はこれからも続きそうです。
http://music.sanook.com/2394893/
「Royal Society Open Science」論文掲載を伝える記事
http://rsos.royalsocietypublishing.org/content/4/11/170708
「Royal Society Open Science」に掲載された論文。Cherprang Areekul がチャープランの本名
https://www.matichon.co.th/news/835819
科学技術大臣の発言を伝える記事
https://www.thairath.co.th/content/1029324
生写真7万7千バーツ落札の記事
取材・文◎赤熊賢
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