プチ鹿島の「余計な下世話」

全面謝罪の『週刊SPA!』の下世話企画「ヤレる女子大」と伊藤詩織さん問題の共通点|プチ鹿島

2019年01月11日 プチ鹿島 女性蔑視 差別 週刊SPA!

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spa!.jpgSPA! 2018年12月25日号


 今回はこの問題を取り上げてみたい。

『週刊SPA!批判受け謝罪「ヤレる女子大生」企画」を謝罪』(スポニチ1月8日)

《扶桑社の男性誌「週刊SPA!」が昨年12月25日号に掲載した女子大学生を性的にランク付けした特集記事の表現を巡って同編集部が7日、謝罪するコメントを発表した。》


 新聞だけでなく下世話な週刊誌も大好きな私は、今回の問題を「やーい、やーい、SPA!がやらかした!」という一方的な気分にはなれなかった。そもそも私のこの連載のタイトルは「余計な下世話」である。

「紙媒体は今後どうなる?」という論点もあると感じた今回の一件。一体、何がどうだったのか。実際にSPA!の記事を読んでみた。

 タイトルは「ヤレる『ギャラ飲み』実況中継」。あれ、思ってたのと違う。

 ギャラ飲みとは「タク飲み」が由来。タクシー代などギャラを支払って女性を呼ぶ飲み方から派生しているという。「カネを払って女性と飲みたい男性が女性と出会えるマッチングサービスが主流だ」と記事の冒頭に書かれている。そして「最旬のギャラ飲みアプリ4選」と銘打ってオススメのサービスを次ページで紹介していた。


 そう、この特集は「ギャラ飲みアプリ」(マッチングサービス)の広告のような記事だった。


 そして4ページ目にアプリ運営者のコメントが載っていて、ここに「ヤレる女子大生RANKING」が掲載されていたのだ。

 ある大学は「男ウケの良さを磨いている」。ある大学は「横浜方面に住んでいて終電が早い」。ある大学は「就活相談で仲良くなれるチャンスが多い」。

 後にこの運営者は「自分の主観で勝手に決めてしまった」と答えているから、まったくの妄想ランキングだった。


 このようなコメントを欲したのは、80年代からの「女子大生幻想」がオヤジジャーナルにはまだ続いているという証拠でもあると思う。

 この手の記事は妄想(フィクション)として割り切って読む人もいるだろうが、それにしても「ああ、これは......」と思ったのは文中のギャラ飲みで成功している人の「アドバイス」だ。

 飲む相手が女子大生なら「就活相談には積極的に乗って好印象を与えましょう」という助言が載っていたのである。

 これにしたがって(この記事を書く)ライターが実際にギャラ飲みをする。その「レポ」が続く。

 飲み会終了後にLINE交換し、寿司に行く約束をする。


《1週間後、Bちゃんと再会。約束どおり寿司屋に行き、2件目は洒落た雰囲気だけの安いバーへ。アドバイス通り就活の相談に乗りつつ、》


 ホテルに誘う流れが最後まで書かれている。


 ここまで読んで「あっ!」と思った方もいるだろう。この、「就活相談に乗る」「寿司屋」「酒」というシチュエーション・・・。

 ジャーナリスト伊藤詩織氏が告発した性被害の状況とまったく同じなのだ。

 女性が「就活相談に乗る」と言われ、ある程度の力を持つ男性と酒席を共にする状況はやはり多くあることがわかる。

 いや、次の場合も考えておく。

 伊藤詩織氏が告発した状況がいまだ印象強く、この記事のライターがそれに「沿った」書き方をした可能性はないか? もしその場合、「読者はフィクションだと割り切って楽しんでいるだろう」という送り手側の想定がひどいことがわかる。

 今回の騒動で「SPA!の記事は昔からそう」とか「ほかの週刊誌はもっとひどい」という声もある。私も下世話な記事をやめろとは思わない。でも、おカネを出した読者相手なら何を書いてもいいということになれば、その先には固定読者相手に差別と偏見で商売していた「新潮45」がみえてくる。

 だから、たしなむ側(読者)にも新ルールを受け入れる必要があると思うのだ。一般の大学名をあげて「ヤレる」というのは(しかも主観)もうアウトだということ。ヤルために「女子大生には就活相談に乗る」という"おっさんへの助言"は、リアルの場にしろ妄想用にしろいずれにしてもタチが悪いということ。

 オヤジジャーナルを楽しむ側(読者側)も変わらなければいけないのである。おじさんも変わらなければいけない。

 でなければ、私もあなたも、変わらないことを開き直る麻生太郎になってしまう。

 あんなオッサンになるのは嫌だ。

 今の時代に下世話を楽しむなら、送り手側も受け手側も常にバージョンアップしていくしかない。今回の教訓だと思います。(文◎プチ鹿島 連載『余計な下世話』)

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