山尾志桜理議員の不倫騒動は民進党のみならず、日本全国の話題をさらった。その原因は山尾議員が容姿端麗という点と、特大ブーメラン効果である。安倍首相に予算委員会で「保育園落ちた 日本死ね」問題で、舌鋒鋭く迫ったあなたのどの口で不倫とか言えるのですか?という国民の不信感である。
安倍内閣の支持率が少しし回復したが、マイナス要因として「安倍首相を信じられない」という項目に多くの人が丸印をつけている。つまり政治家の信用問題、人柄が昨今、問題となっているのだ。という事を鑑みると、子どもを持つ母親の味方だった山尾志桜里議員が、子どもをほったらかしにして、週四回不倫をしていたのなら、当然その人間性を疑われても致し方あるまい。
また、週刊文春の記事を否定するのなら、通常、政治家は提訴するというのがデフォルトとなっている。が、山尾議員は週刊文春記者の「不倫しているんですか?」の問いに、額に手を当てて、「どうしてそうなるんですか......」という困惑と焦りに似た表情を浮かべただけだった。
自分の立場や政治家としての特色を考えると、ここは色をなして怒るべきだった。前述したように政治家得意の、裁判をちらつかせての返答という選択もあったはずだ。もちろん、恫喝まがいのものは良くないのだが。しかし山尾議員は、黙って立ち去るだけだった。
「この場面を見ていました。が、反論しないところを見ると記事は正解なんだなと思いました」(全国紙政治部記者)
山尾議員は記者会見で不倫を否定しながらも民進党を離党した。不倫を否定するのなら、なぜ離党する必要があったのか。徹底的に戦えばよいのではないか。何せ、自分の政治生命が危機にさらされているのである。それでも離党せざるを得なかったのは、不倫記事に対して、名誉棄損で裁判する事にデメリットを感じたたからではないのか。すなわち、真実性を追及されると負ける、と。政治家の出所進退において、山尾議員は極めてまずい行動をしたと言わざるを得ない。
現在、民進党の期待値は大変小さい。旧民主党アレルギーが未だ国民の間に根強く残っている。蓮舫前代表は女性党首という事もあって、女性票を中心とした支持率回復を狙ったがテレビでのご主人の扱いなどが裏目に出て、主婦層から反感を買った。もともと、党内に地盤を築いていなかった蓮舫議員は、神輿を降りる派目になった。
山尾議員は蓮舫議員のようにタレントでもなく、学歴、経歴も申し分なく、民進党にとってみれば切り札的存在だったはず。もしそれに足を引っ張る民進党議員がいれば、その議員は国民感情をわかっていないと言わざるを得ない。それほど期待値が高かった山尾議員の大失態。もしお相手とされる倉持弁護士がブレーンだったとするならば、政治家の身の処し方を示唆する人間としても残念ながら適していなかったと言わざるを得ない。(保田幸太郎)
≪参考文献≫