スマホで気軽に商品が売買できるフリマアプリ「メルカリ」。2013年にサービスを開始し、あの「ヤフオク!」を脅かすサービスにまで急成長したが、ここ数ヶ月、異変が起こっている。
利用者から、メルカリの運営に関し「詐欺ではないか?」という声が数多く上がっているのだ。
そもそもメルカリは、出品者の登録時に身分証明書がいらず、「らくらくメルカリ便」などを使えば、落札者と出品者が互いに住所を知らずに発送できることがセールスポイント。「手軽で便利」な反面、匿名や偽名で利用できるため、悪質なコピー商品が出品されたり、詐欺や資金洗浄、薬物売買の温床になっていると言われてきた。
しかし、今回の騒動は、メルカリの運営会社本体の対応が問題になっている。
利用者のAさんは語る。
「私は、数年前からずっとメルカリを利用してきました。今まではメルカリからの売上金の支払いは問題なく行われていたのですが、今年の8月になって、支払いを申請したところ、突然、保険証や免許証など、本人確認書類をアプリ経由で提出することを要求されたのです」
Aさんはすぐに、保険証の写真を撮って提出。しかし、その後、5回に渡って再提出を要求された。
「私が受け取れるはずの売上金は凍結されたまま。1万5000円程度ですが、他にはもっと高額を凍結されている人もいるようです」(Aさん)
メルカリの利用規約には、偽ブランド品、アダルト関係、医薬品、チケット類など禁止されている出品物が記載されているが、Aさんが販売した商品はCDや雑貨、グッズなど規約に違反しないものばかりだった。
「メルカリに問い合わせても、返ってくるのは定型文ばかり。私より後にアカウントが凍結され、先に解除された人もいます」(Aさん)
その定型文が、以下だ。
この文面を見る限り、メルカリは「本人確認書類の提出が完了」と認識している。しかし、「本人確認」は順次行っており、時間がかかるので待ってほしい、ということのようだ。要は、単に「メルカリの対応が遅れている」だけなのだ。
Aさんは、この状態のまま、2ヵ月も放置されている。
「メルカリには、売上申請期間というのがあり、90日を過ぎると無効になってしまいます。私の1万5000円は、11月の上旬が申請期限なので、このまま無効にされてしまうのでは、と、非常に心配しています」(Aさん)
Aさんの他にも、同様の被害に遭っている人が、SNS上に数多くの意見を上げており、最高で47万円分の売上が凍結されている。そのため、「アカウントを停止して、売上金をネコババする詐欺では?」と指摘する声が上がっているのだ。
メルカリの運営会社である「株式会社メルカリ」は、2018年6月、東証マザーズ市場に株式上場。創業者の山田進太郎会長が保有する株式評価額は、約2000億円ともいわれたが、2018年6月期の決算では、70億円の赤字を計上し、株価も下落基調にある。
さて、これは何かの間違いである可能性もある。被害者を名乗る人々の話を一方的に鵜呑みにするわけにはいかないので、株式会社メルカリに期限付きでの質問を投げてみたが、以下の様な代表者名のない回答(一部抜粋)が返ってきた。
『メルカリでは、皆さまにより安心・安全にアプリをご利用いただけるよう、各機関と連携のうえ健全なマーケットの醸成に努めており、随時お客さまの本人確認やご利用状況の確認を実施しております。
ご質問いただいている内容につきましては、個別で事情が異なりますので、詳細につきましては回答は控えさせていただきます。
※なお、メルカリの支払金につきましては2018/9/27より振込申請期限を180日に変更しております。
ご参考:https://jp-news.mercari.com/2018/09/20/proceeds/
以上になります。ご確認宜しくお願いいたします。
メルカリ/PRチーム』
振込申請期限を倍にしたところで対応が変わらなければ問題は解決しない。本サイトはユーザーのためにメルカリ自体がどのような対応をしているのかを聞きたかったわけで、無闇に盗人扱いしたいわけではない。しかし、メルカリは疑問に答えてくれないのだ。
はたして、Aさんの1万5000円は無事、支払われるのだろうか?(取材・文=N.A.B.E.)
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