小田急線相武台駅前を降りて、歩いて十分くらいのところにその現場はあります。
座間九人猟奇殺人事件。
連日、取り調べを受けているのが白石隆浩容疑者(27)。世間を騒然とさせたこの事件は日本犯罪史上に残ると言われています。一人で九人もの人を殺せたのか。そしてその九人もの遺体を一人で損壊させたのか。本当に一人でそんな事をやれるのか。共犯者がいるのではないか。動機は何なのか。金銭目的と言っているが本当なのか......。
犯罪現場には「磁場」かあると、故ルポライター朝倉喬司さんは言っていました。僕が師匠と仰ぐ人です。足でネタを稼ぐ人でした。どこの現場にも行く訳ですが、その土地が元々どのような成り立ちだったのかを調べていくのです。僕もその手法を見習っているのですが、足元にも及びません。しかし何とか、真似てみます。
座間の事件現場に足を運ぶべく、GPSに住所を入れました。が、現場近くに来てもなかなか、白石隆浩容疑者のアパートにまで辿り着けません。東京近郊の典型的なベッドタウン、独特の迷路のような街並みだからです。東京だけでなく地方の首都の郊外にもこういった新興住宅街があるので写真をご覧になればイメージがわくのではないでしょうか。
住民や郵便、宅急便の人以外、足を踏み入れないような静かな一角です。一軒家が立ち並ぶ中、白石容疑者のアパートがポツンと立っています。小田急線が道を挟んで通っており、電車の音はかなりうるさく感じられるのではないでしょうか。
郵便受けを見ると207号室に頑丈なテープが貼ってあります。白石容疑者の部屋でしょう。一階の部屋には窓越しに住民の服がかかっており、生活臭が感じられます。隣の人は何する人ぞ、という言葉がありますが想像するだけでゾっとした事でしょう。
動機解明が遺族の方のせめてもの心の救いになる訳ですが、まだこの事件の謎は解けそうにないと僕は見ています。
取材・文◎久田将義
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