補導した複数の少女らに対し、暴力団を装って「集団でレイプするぞ」といった言葉で脅迫したとして、広島東署の元巡査部長・鞍本渡被告被告が強要未遂の罪に問われた公判が広島地裁で行われた。裁判官は悪質な犯行と認めたものの、懲役2年6ヶ月、執行猶予4年の判決が下った。
この事件のあらましは、補導した際に入手した少女2人の携帯電話番号に、暴力団員を名乗って連絡をし、「セックスさせないと組員複数でレイプしてやる」といった脅迫をしたというもの。また、携帯の出合い系サイトで知り合った別の女性には、インターネットに裸の画像をばら撒くといった脅迫を行い、こちらに対してもセックスを強要したという。ところが、すでに元巡査部長は懲戒免職処分を受けており、さらに金銭による弁償も行われているため、それを考慮して執行猶予が付いたようだ。
非常に既視感の強い事件で、警察官とセックス強要という点で「ああまたか」と感じる方も多かろう。実際にこのサイトでもついこの間このような記事をアップしたばかりだ。
◇ 参考記事
『愛知県警巡査部長の「小学生女児強要未遂事件」が児童ポルノ禁止法に落とした闇』
『【愛知県警不祥事】 処分保留の巡査部長と同じ手口の中学校教諭は児ポ法違反で逮捕の不可解さ』
言いたい事はこれらの記事の中ですでに何度も何度も述べているので簡単に済ませるが、最も重視したい点は「警察が職務上知り得た情報を悪用した場合の罰則が軽すぎやしないか?」という一点である。
ごく普通の一般市民にとって、警察とは逆らう事の出来ない相手である。いくらおかしいと疑問に感じても、独力で警察官に対して異論を唱え、自己の権利を主張し通せる人間など僅かだろう。そんな警察官に携帯番号を聞かれ、また携帯電話やPCなどを押収され、中に入っている個人情報を悪用されたら、どう対処すればいいのだろうか。
ましてや、定期的に事件を起こし続ける色狂いの警察官らは、自分達が持つ権力や暴力性を把握した上で、狙ったターゲットを完全に支配しようと仕掛けて来る。これに10代の少女などが反抗できる訳がない。
であるからこそ、このような卑劣な手口で市民の人生を壊しにかかるような不良警察官には、厳罰を以って対処すべきなのではないだろうか。逆を言えば、それが出来ない理由が解らない。大きな権力や暴力を持っている存在だからこそ、何かあった場合は通常よりも厳しく罰せられる。それが当たり前ではないのだろうか。軍隊にシビリアンコントロールが必要とされるように、警察にも何かしらの無茶が出来ないシステムが必須であろう。
例外として拳銃の使用に関しては非常に厳しい規定はあるが、拳銃を用いない暴力や卑劣な犯罪に対してはザル過ぎるのだ。"被害者の人生を壊す" ことを "死" に含めるならば、警察官の権力があれば、拳銃など使わずとも容易に人を殺せるのだから。
システムという面で言うならば、警察には暴走させぬように警官に首輪を付けるようなシステムではなく、罪を犯した仲間を最小限の罰で済ませるためのシステムならば完備されている。今回の広島の件でも、上の参考記事の愛知の件でも、身内が犯罪を犯した場合に、まず内部で被害者への弁償も含めた事後処理を即座に済ませてしまう。そしてそれを根拠に執行猶予が付くように持って行くとか、最悪の場合は何故か不起訴で済ませるといった処分を狙うのだ。まさに至れり尽くせりの天国のような職場だが、こんな連中を我々の税金で食わせているのである。
また、警察に限らず日本のオカミには「我々が守ってやっているのだから、これくらいは当たり前だ」と考えているフシがある。これが500年も前ならば「天災から逃れるために村の処女を龍神様の生け贄に」という発想にも頷けるが、日本では実は未だにそんな思想が横行しているのだ。こうした不祥事を見る度に、中世で時間が止まったかのようなこっ恥ずかしい国だとつくづく思う。
オタク文化にカテゴライズされ、また児童ポルノとレッテル貼りされるような物に対しては、このような事件が起きた場合にまず間違いなく犯人扱いされるのだから、もういい加減に「警察官だから性犯罪を犯す」という考えが世間に浸透すべきである。警察こそが犯罪者育成機関だ。
Written by 荒井禎雄
Photo by 広島県警察ホームページ
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