力士がビール瓶で人の頭を殴ったらどのような事態を引き起こしてしまうのか――。
9月場所で一人横綱状態で孤軍奮闘、優勝した横綱日馬富士が幕内力士貴ノ岩にビール瓶で殴打した事を認めました。
また貴ノ岩の師匠貴乃花親方が巡業場所、鳥取県警に10月末に被害届を出していた事も明らかにしました。鳥取県警が被害届を受理したという事は、事件とし立件できるとして踏んだ事になります。警察は、かなりきちんとした予想を立てなければ受理はしません。我々がすぐに被害届を出して、受理されるようなら、警察にとっては切りがないからです。
日馬富士は師匠の伊勢ヶ濱親方に連れられ、貴乃花部屋を訪れますが、車で立ち去れてしまいます。その様子がテレビでも放送されました。伊勢ケ濱親方も「何で?」というような言葉を周囲につぶやきながら、呆然としているように見えました。日馬富士も同様のようでした。立ち去った貴乃花親方の「怒り」と「本気」を表しているように映りました。
今回の被害届は、「被害者が加害者と容疑をかけられる人物を罰してください。逮捕して下さい」。警察が受理した事は「はい、分かりました。捜査して結果によっては逮捕します」という事です。まさか逮捕はあり得ないでしょうが、貴乃花親方が現在(11月14日)被害届を取り下げないという意志を示している以上、一般人なら逮捕案件ではあるのですが......。
警察が暴行事件として、捜査を進めている事から酒席の場にいた力士は任意で事情聴取されています。日馬富士の酒癖の悪さはほとんど酒乱と言ってよいでしょう。と、すれば酒癖はすぐ直る訳でもなく、過去にも同様の騒動を起こしていた事も考えられます。
という事は力士、関係者の中でも今回ほどでなくても大なり小なり暴力を振るわれた人もいておかしくなく、浄化という名目で日馬富士のこれまでの行いが明らかになるのではないでしょうか。
相撲協会としては日馬富士を守るのか、貴乃花親方を守るのか。相撲ブームの火を消さない為にも貴乃花側につくのかどうか。経過を見守りたいと思います。
(久田将義)
品格が求められるのが横綱のはずだが......。