「小泉内閣時代の豪腕秘書官だった飯島勲氏が電撃訪中した」
この一行のニュースから安倍内閣、中国政府、北朝鮮の思惑がどうなっているのか検証してみたい。
そもそも安倍晋三総理の人気は「拉致問題から」と言っていいだろう。小泉純一郎総理大臣(当時)に、官房副長官として訪朝し間近で小泉内閣の浮上を見てきている。思い出して頂きたい。拉致被害者らを小泉総理が電撃訪朝し、帰国させた時は最初は批判的な声が多かった。「全員帰国すべきだ」という拉致被害者家族からの真っ当で痛烈な声も多かった。
その逆境を救ったのがジェンキンスさん帰国である。曽我ひとみさんとのタラップでの抱擁は、テレビ放映され多くの国民の喝采を浴びた。
「曽我さん、ジェンキンスさん良かった」という声と共に「小泉総理は良くやった」という空気が国民の心を覆う。それを安倍官房副長官(当時)は小泉総理(当時)の元、ずっと見てきているのだ。
つまりピンチの時に「北のカードは効く」と、「北朝鮮は選挙対策になる」と政府は見ている節がある。そこで当時の「豪腕秘書官」で内閣参与飯島勲氏が訪中すれば、いちばんの目的は日中首脳会談の調整とはいえ、両国が頭を悩ませる「北朝鮮問題」も触れないわけにはいかない。
だが、そこで日本側は予想外の反応に面食らったという。それは現在、中国と北朝鮮の関係が想像以上に微妙だという点だ。どうやら中国側ではすでに金正恩書記のことをコントロールできなくなっているようなのだ。
特に習近平自身が、統一した行動が取れない北に対して苛立ちを感じているようで、「金正恩体制」自体への疑問も隠さなくなっているという。そもそも共産党内部には「金王朝」は世襲制ではなかったか。つまり本来は金正男が継ぐのが筋だという思いが根強く、それは北朝鮮内部も似たような状況のようだ。そのため、中国共産党は来る日の傀儡トップとして、金王朝の嫡男・金正男を完全なるVIP待遇で国内に匿っていると言われている。
そんな複雑な事情もあり、日本側としては飯島内閣参与が勇んで訪中したはいいが、「北朝鮮問題」に関しては成果もなく、体裁を整えるための「中国との関係」を強調した飯島内閣参与のコメントになったと思われる。
安倍内閣とすればいざとなった時の「北のカード」を確保しておきたかったものの、今回の参院選の自民党大勝により「ねじれ」も解消され、急ぐ必要もなくなったというのが本音だろうか。
不幸なのは、常に政局の道具にされている拉致被害者・家族であるということを忘れてはならない。
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Written by 日刊ナックルズ編集部
Photo by DS80s