経済成長はしたものの、格差だけが広がり豊かになったのは役人だけ。そんな鬱積した中国国民の不満が、インターネットへの依存をより深めているようだ。
ここ数年、中国のネット利用者は毎年10%以上の増加率を続けている。その結果、深刻なネット依存にかかる若者が急増しているという。国立病院機構久里浜 医療センターが発表した数字では現在、中国のネツト依存者は1300万人以上にものぼり、治療施設も300を越えることが明らかになっている。
中国では早くからこの危険性に気付き、2005年から北京軍区総合病院の陶然医師らが中心になって研究プロジェクトを発足している。これまで合計1200人のネット依存症に対する統計、分析を行い、世界で初めて「ネット依存症は精神疾患の一種である」と提起した。
先月にはこのときの作成された「インターネット依存症臨床診断基準」が、アメリカ精神医学会の精神障害に関するガイドライン「精神障害の診断と統計の手引き」に採用されたばかり。これは同基準がネット依存症診断の国際基準になったことを意味する。
ネット依存症の急増が社会的に与える悪影響はまだはっきりしないが、国家の社会性や生産性が低下するのは免れないところ。国民のネット利用に神経を尖らせる中国が、この分野で研究をリードするのも当然なのかもしれない。だが、データの改ざん、誇大報告が目立つお国柄だけに中国発の診断基準というものには一抹の不安を禁じ得ない。
Written by 日刊ナックルズ編集部
Photo by digidreamgrafix
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