タイのピピ島といえば秘境ビーチとして観光客に人気のスポットです。とくにピピ・レー島のマヤ湾は奇岩に囲まれた湾内に透きとおった海と白い砂浜が広がる楽園で、レオナルド・ディカプリオ主演の映画「ザ・ビーチ」でロケ地にもなったほど。しかしこのマヤ湾、現在は観光客の立ち入りが禁止されています。
理由は観光客が毎日2,000~4,000人訪れる状況がマヤ湾の環境を破壊したからです。観光客を乗せた船が砂浜に乗り上げることで砂浜が削られ後退した上に、船が巻き上げた海底の砂をかぶったサンゴが被害を受けたのです。
ピピ島を訪れる観光客には中国人ツアー客が多いのですが、ゴミ捨てなどのマナーもかねてから問題となっていました。
そこで破壊された環境を回復させるため、野生動植物国立公園局が6月1日から9月30日の3か月間、ピピ・レー島のマヤ湾への立ち入りを禁止してきました。
しかしここに来て立ち入り禁止期間が10月1日以降も継続されることが告示されたのです。マヤ湾周辺の環境は回復しつつあるものの、まだ完全には元に戻っていないことが理由です。さらに延長期間も「海と砂浜の環境が通常の状態に戻るまで」の間の無期限とされました。
3か月の立ち入り禁止期間中に大学などの研究機関が調査を行い、マヤ湾のサンゴを衰退させたり白化させた主な原因は、観光客が使用した日焼け止めクリームだとの意外な結果が報告されました。
その他に観光客を運んでくる船のスクリューによって巻き上げられた砂がサンゴを覆ったことに加え、船の錨によって傷付けられたことも理由として挙げられました。
ただしマヤ湾は全面立ち入り禁止ではなく、船は湾内の指定された範囲内にだけは入っていくことはできます。しかし観光客の砂浜への上陸と船がサンゴ育成区域に入ることは禁止となっています。
地元観光業者からは立ち入り禁止措置が延長されたことで悲鳴も上がっていますが、当局は近隣の他の観光スポットへ観光客を案内するよう要望しています。難しいところですが、観光資源を失っては元も子もないため、環境保護優先で許容される範囲で観光利用していくことを観光業者も受け入れるしかない状況です。
マヤ湾の素晴らしい楽園風景を再び見られる日が、そう遠くなくやって来ることを願わずにはいられません。(取材・文◎赤熊賢)
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