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統計データを眺めていて、思わず「なんで?」と疑問に思うことが多々あります。今回はそんなびっくりしたデータを見てみましょう。
紹介した統計は警察庁「自殺統計原票データ」から内閣府が作成した「日本における自殺者数の推移」です。パッと見ただけで、「平成9年(1997年)」から「平成10年(1998年)」にかけて驚くほど増加しているのが分かるのではないでしょうか。具体的な数値では、平成9年が24391人、平成10年が32863人と約8000人も増えています。それまでの伸び率とは比較にならないグラフの跳ね上がりを見たとき、「1998年って何があったっけ?」と感じてしまいました。
ちなみに1998年といえば筆者はまだ大学生でしたが、裏原宿ブームで目玉が飛び出るような服を同年代の若者たちがこぞって買い漁っていたり、今ではトンと聞かないCDのミリオンセラー(GLAYの「誘惑」やSMAPの「夜空ノムコウ」がヒットしてましたね)がバンバン出ていたり、景気の良い思い出しか記憶にありません。
しかし、1998年をちょっと調べてみたところ、「そういえば!」というほどに日本の経済が危機的状況であったことがわかりました。
例えば、97年から98年にかけて、山一證券や拓殖銀行、日本長期信用銀行、日本債券信用銀行、日産生命保険などの金融系の大手企業が次々と倒産。筆者は地方出身者ということもあり、銀行は公務員と同じくらい倒産と縁がない職業というイメージでしたから、とくに都銀である拓殖銀行の倒産にはかなり驚かされた記憶があります。
ほかにもGDPがマイナス成長に転じたり、失業率が4%を超えるなど、「日本列島総不況」と言われたほどで、これらの「不況」が自殺者数が急増したひとつの原因と推測されています。
今回のデータの内容が内容なのでアレですが、「なぜ?」という疑問を調べることで、懐かしい思い出を回顧できたり、新しい発見に出会える。それも統計データの魅力のひとつと言えるのだと思うのです。
取材・文◎百園雷太
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