元文科省事務次官前川喜平氏が名古屋の市立中学で特別授業をした事が問題になっています。文部科学省が教育委員会に対し、「なぜ前川氏を招いたのか」などの問い合わせをし、メールで「在任中、出会い系バーの店を利用していたことが公になっている」などと送り、講演録や録音データの提供を求めています。
「出会い系バーの出入り」がなぜ、問題なのでしょうか。
僕は前川喜平さんの思想信条について、ざっとまとめ文を読みましたが、必ずしも賛成するものではありませんという事をお断りしておきます。
ここでは、「出会い系バー通い」を焦点に当ててみます。
ニコニコ生放送「タブーなワイドショー」・「ニコ生タックルズ」で吉田豪君とも話したし、実際にその出会い系バーに行ってみた取材観を語っており、ニコニコニュースとしてして文字起こしされていますが、未だ誤解をなさっている人がいるので解説しておきます。
出会い系バーは風営法の許可を得ています。ゲームセンター、キャバクラ、クラブなども同様です。法律上は全て「風俗店」になりますが、それらを風俗店とは呼称しません。「ゲーセン行ってきた」を「風俗店行ってきた」とは言わないように。
出会い系バーも風営法の許可を得ています。ここで問題になっているのは、出会い系バーは児童買春の温床になっているのではという点がまずあげられます。風営法ではその点を考慮しています。風営法の当該部分を抜粋してみます。
「2010年12月31日まで従業員による接待がないため風営法適用対象となっていなかった。しかし、児童買春などの温床となる恐れがあり、実際、18歳未満の女性が気軽に利用し売春に発展(児童による同意の上での売春行為)している報告もあり、警察庁では出会い喫茶を風営法の規制対象にする方針を固めた。 2011年1月1日より施行された風営法施行令により出会い喫茶は18歳未満の者の立ち入りや営業地域・営業時間・広告宣伝などが全国的に規制されるようになった」
最近はJK散歩が問題になったりもあり、未成年に関しては非常に厳しくなっています。
また実際に、この歌舞伎町の出会い系バーに取材しましたが、OLばかりでした。「週四回もJKに会いに行っている」といった前川さんに対してのネットの論調がありましたが、まず上記のようにJKはいません。もし、そのような店があれば、しかも日本一の歌舞伎町のど真ん中で行われていれば、「チクリ」が入りすぐ摘発されるでしょう。
キャバクラに、クラブ(ホステスが接客する方の)に毎週のように通っている男性は多々いるでしょう。
お目当てのホステスやママに会いに下心を隠して(下心がない客ももちろんいる)口説く目的で、通うのではないでしょうか。それが例え、疑似恋愛でも。成人女性だけがいる出会い系バーに通う事と、何が違うのでしょう。前川氏の場合、貧困女性の調査目的ではありました。
また、「暴力団直営で管理売春の店」と言っている方もいました。青山繁晴参議院議員を初めとして。これも取材した限りでは、「ない」です。直接、歌舞伎町に事務所を置いてある(ネット上で名前すら出された)組の組長に聞いてみたところ言下に否定しました。
違う角度から探ってみました。週刊誌記者がこの出会い系バーを経営しているグループのトップに取材しところ、その通りでした。実際はグループの系列という事でした。
つまり、「児童もいない」「管理売春もしていない」「暴力団直営でもない」「風営法の許可を得ている」店に通う事のどこが問題なのか全く理解できません。
それでも前川氏の出会い系バー通いを云々する人は、別の何らか思惑があるのでしょう。
繰り返しますが、僕は前川氏の思想・信条の全てに賛同するものではありません。が、中学校で特別授業・講演した事が調査(厳密にはこの言葉ではないが)の対象となり、その根拠が「出会い系バー」だとしたらその根拠そのものが砂城のように崩れていくという事です。(文◎久田将義)
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