今月4日、京都府舞鶴市で巡業中の大相撲舞鶴場所で挨拶を行っていた多々見良三舞鶴市長(67)が、突然土俵上で倒れるという事案が発生。
土俵上では急遽、救命活動が行われることになったのだが、応急処置のために駆けつけた人々の中に女性が数名いたため、場内アナウンスからは「女性の方は土俵から下りてください」との注意が出されることに。
このアナウンスが「人命軽視」や「女性蔑視」であるとして、批判が集中。大きな物議を醸すことに。
この批判を受け、場内放送を担当した行司と対峙した春日野部長は「動揺していた。急なことで対応に戸惑っていた。とにかく女性が土俵に上がっていることが頭にあったようだ」と説明。
さらに八角理事長も同日中に、「人命にかかわる状況には不適切な対応でした。深くおわび申し上げます」と謝罪のコメントを出し、「今後は突然のことでも対応できるようにしたい」と再発防止への取り組みにも前向きな姿勢を見せた。
それでも厳しい声は今なお止んでおらず、インターネット上には「人命よりもしきたり!」「女一人土俵から追い出せないのに力士なんか押し出せないだろ」「救急隊員は土足で土俵に上がってたけどこれはいいのかよ」といった皮肉までが寄せられている。
さらに一連の事案に端を発する「女性が去った後の土俵が大量の塩で清められていた」とする真偽不明の情報や、「話題作りのために女性救命士を置き、わざと倒れたのでは」とするトンデモ陰謀論が展開されるなど、昨今の男女対立を好む者たちの餌食とされる事態にまで発展した。
そもそも大相撲の土俵が女人禁制なのには諸説あるが、豊作祈願の信仰から起こった儀式であるため、豊作の女神にヤキモチを焼かせないためというものが有力。
しかし、古代から戦前に至るまで女相撲の興行は確認されているため、伝統という意味合いでは異論もあるが、いずれの場合も女性蔑視に由来するものではない。
昨今、トラブル続きで厳しい視線が注がれる相撲協会は、この逆境から1990年代の「オヤジギャル」、2000年代の「相撲ギャル」、2010年代の「相撲女子(すーじょ)」と続く、女性ファンの流れを掴むことが出来るのだろうか。(文◎黒川明)
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