原宿の竹下通りで事件当時女子高校生だった被害児童Aに声をかけてきた男は、自分のことを『雑誌のスカウト』と名乗っていました。
「スカウトだと言ったのはとっさに出たウソで、特に意味はないです。私服だったので18歳か19歳だと思ってました。あとで年齢を聞いて高校生だとわかりました」
こう裁判で話していた古谷智哉(仮名、裁判当時36歳)はもちろん雑誌のスカウトではなく、新宿区百人町にあるバーの経営者でした。
「声をかけたのはわいせつ目的ではなく、ただ単純にご飯に誘って仲良くなりたかっただけ」という彼の誘いに彼女は応じました。
二人はタクシーで原宿から大久保の飲食店へ移動して食事をし、彼はAに自宅へ来るよう誘いました。
「店でマジックの話で盛り上がってて、じゃあ見せてあげる、みたいなことを言って誘いました。彼女も『見たい』と言ってついてきました」
裁判では彼はこのように言っていましたが、Aは「威圧的な態度だった」と供述しています。
百人町の自宅に到着後、彼は彼女にセーラー服に着替えるように頼みました。彼女は着替えたくなかったようでしたが「高校生だから似合うよ」と何度も言って結局着替えさせました。
その後、彼は「お酒を一緒に呑もう」と誘いました。「お酒は苦手だからイヤ」とはじめは渋っていた彼女でしたが、頼みこむと了承してくれました。
「お酒を呑ませたのは何か目的があったからですか?」
と検察官に聞かれた彼は即答でこれを否定しました。
「いえ、違います。お酒を呑ませた時にはそういう気持ちはありませんでした」
この時のお酒の呑み方は普通の呑み方ではなく『あっちむいてホイ』で負けた方がお酒を呑むという呑み方でした。彼女がお酒に弱いというのを聞いていた上で、彼は焼酎のお茶割りを5杯ほど呑ませたそうです。
クソ野郎に実刑を!
その後のことです。「自分で勝手にムードが出来たと思ってしまった」という彼は彼女にキスをしました。キスをしたとき、彼女がイヤがっていたのはわかっていたそうです。そしてセーラー服をたくしあげ、ブラジャーの上から胸を揉みました。この時も彼女が「困った顔をしていた」のは確認していました。
しかし彼は服を脱いで裸になり、彼女にアイマスクをつけさせてから自身の陰茎を握らせ手淫をさせました。彼女は「やめてくれ」と言いましたが彼はやめず、最後は彼女の口に指を突っ込んで精液を口に含ませました。
犯行が終わり彼女に着けさせていたアイマスクを取った時、彼女が泣いていることに気づきました。ようやく「申し訳ない気持ちになった」という彼は、その後は何度も謝りながらタクシーで彼女を自宅近くまで送りました。
彼女は一部始終を泣きながら母親に話し、それを聞いた母親は警察に被害届を出しました。
「男性がこわくなった」
「教室に男子がいるのが怖くて入れない」
「手や足の震えが止まらない」
「電車やバスに乗れなくなった」
事件後、このような症状を訴えていたAは『外傷性ストレス障害』と診断されました。古谷に対しては
「実刑になってほしい」と強く厳罰を希望していました。
「犯行時も呑んでたし、その前日も仕事で酒を呑んでました。酒のせいで理性がちょっとちゃんとしてなかったところもあると思います」
事件の原因は酒にあると古谷は言っていましたが、彼には以前にも街中で声をかけた未成年の女性と性交した上でそれを撮影したという内容の条例違反の罰金前科がありました。また同種の再犯を犯す可能性は高いのではないかと思います。
裁判官に今後どのように生活していくか問われた彼はこう答えました。
「借金がありますので...それを返すためにも、今後も以前と同じようにやっていこうと思っています」
被害者との間に300万円で示談は成立していますが彼は懲役2年を求刑されました。以前と同じようにやっていく、そう言い放った彼に反省の色は見られませんでした。(取材・文◎鈴木孔明)
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