オウム真理教幹部ら6人死刑執行 「23年前に築地駅でサリンを吸ったかも知れない」|久田将義

2018年07月26日 オウム真理教 サリン 久田将義 幹部ら6人 死刑執行 築地駅

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 松本智津夫元死刑囚の執行が行われ、26日に6人のオウム真理教幹部らの死刑がさらに執行されました。

 地下鉄サリン事件の日。僕は日比谷線八丁堀駅にある勤務先の三才ブックスに通勤途中でした。午前9時出社でした。9時少し前に日比谷線内で電車が停まりました。停車駅は覚えていないのですが、アナウンスは「車内で異臭が起きたから」というようなものだったと思います。

 9時付近はラッシュ時刻とはずれているため、そんなに日比谷線は混んでいませんでした。しばらくして動きだ出すのですが、乗客は僕も含めて、地下鉄サリン事件という日本の犯罪史に残るような事件が起きているとは全く想像だにしていませんでした。

 もし8時出社だったら、と思うとぞっとします。確実にサリン事件に巻き込まれていたと思います。

 八丁堀駅からすぐのビルにある三才ブックスに出社すると(多分遅刻だっと思います)、テレビがつけてあり、先輩社員が「サリンていうの? とにかく何かあったらしいから、築地駅(八丁堀駅の隣)で写真撮ってくれるか」と言い、僕らは手分けして写真を撮りに行きました。サリンがどれほど危険なのかも分からずに。

  築地駅には歩いていきました。徒歩10分くらいです。サリン事件発生から2時間は経っていた午前10時くらいではなかったでしょうか。

 規制線がどれくらいの範囲で貼られていたかどうかあまり覚えていません。とにかく、規制線の外なら大丈夫だろうと思い、築地駅周辺をひたすら歩き回って写真を撮りました。空撮のような写真も撮りたかったので雑居ビルにのぼったりもしました。

 一時間くらい歩き回って、そろそろ帰社しようと思いました。

 地下鉄築地駅には、地下からの通風孔があります。幹線道路上にある通風孔です。そこの上を通った時です、ゴーっという風の音がして、地下から僕の顔に風がかかりました。

 その時に、鼻にツンときました。もう事件から二時間以上経っているのだから、サリンなんか残っていないだろうと思うのですが、「鼻のツン」は刺激物のようでした。

 会社に戻ってから、脳震盪にあったような頭痛が襲ってきました。痛いというかクラクラする感じです。椅子に座っていても机に伏せなければキツイくらいでした。とにかく、今までにあった事がないような頭痛でした。目にもきていました。視力が狭まったような感じでした。

 上司に言って、早退したのですが、帰宅してからもずっと寝たままでした。もしかしたら、思い込みだったのかも知れません。が、僕の身体は言う事がきかなかったのは事実でした。一日寝て、まだ頭痛とめまいが治らなかったら病院に行こうと思いましたが、翌日にはまともに立てるようになりました。個人診断は良くないのですが、僕の中では地下鉄内にサリンが残留していたと思っています。

 これを、まともに吸った被害者の方々の苦しさを思うとオウム真理教幹部の残忍さにはぞっとします。

 7月26日、六人の死刑が執行されました。しかし、被害者の方の苦しさはそれで報われるものではありません。被害者の方のご冥福を改めてお祈り申し上げます。(文◎久田将義)

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