4月7日の午後、突然に渡辺喜美氏がみんなの代表を辞任した。2週間前に発売された週刊新潮で化粧品会社会長から借りた8億円を暴露され、一度は囲み取材に応じたものの、1週間以上も姿を消していた。久しぶりに見た渡辺氏の髪はかつてのツンツンヘアのような勢いがなく、まるで寝癖のように乱れていた。あるいは誰かにヒステリックに掻きむしられたようにも見えた。
約1時間の辞任会見で、出てきた説明は納得できるものではなかった。例えばどうして借りた5億円を妻の口座に入れたのか。「私が持っていたら遣ってしまう。保守的に管理してもらった」と渡辺氏は述べたが、どういう管理だったのかが気になるところだ。そもそも5億円を振り込まれた10日後、渡辺氏は化粧品会社会長に「供託金を払い終わりました」とメールを送っている。これは7日の説明と矛盾する。
このような説明で許されるのか。渡辺氏の政治生命はどうなるのか。急きょ大阪から上京したみんなの党の最高顧問である江口克彦氏に、渡辺氏の代表辞任についてどう思うか、およびみんなの党のこれからについて聞いてみた。
「代表を辞してけじめをつけられたのは、さすがだと思う。しかしこれで潔白が証明されたわけではない」
江口氏は結党時から、みんなの党に関わってきた。いわば生みの親のひとりである。その江口氏が3月31日に渡辺氏に党代表辞任要求をつきつけた。みんなの党は常にクリーンでなければならないというのが江口氏の主張だ。
「あの説明では国民の理解が得られるとは思わない。どうして5億円が奥さんの口座に振り込まれたのか、そして5億円は遣われたのか。遣われたなら何に遣われたのか。その説明がなければ、シロとはいえない。政倫審には自分から説明に出向くくらいの姿勢を見せてほしい。検察に対する説明もそうだ。それくらいの覚悟なくして、政治生命は繋がらない」
厳しい言葉の一方で、渡辺氏を長年支えてきた情がにじみ出る。
「渡辺氏の最初の志は確かに素晴らしいものだった。だがどうしても早く成功したいと焦りすぎたのだろう。気軽に大金を借りることができて、心に緩みが生まれたのかもしれない。結果的に貸主の吉田嘉明会長の善意が仇になってしまったのは残念だ」
しかし振り返ってばかりはいられないと、江口氏は述べる。
「これを契機に個人経営だった渡辺商店をみんなの党株式会社に発展させなくてはいけない。こんな騒ぎになってしまい、国民の信頼を回復させるのは大変だと思うが、党所属議員が一致団結し、力を合わせていくつもりだ。国民へのお詫びは結果を出すことだと思う。『やはりみんなの党があって良かった』と思われるように、精一杯頑張りたい」
Written by 安積明子
Photo by みんなの党公式サイト
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