【ネット】「児童ポルノ規制」でやり玉にあがったLINE未成年者・利用制限の深層

2013年08月01日 LINE 渋井哲也

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 アカウントを取得し、許可した者同士や複数のユーザーでやりとりができるアプリ「LINE」は、18歳未満の利用を制限することになった。これまでもKDDI(au)のAndroidアプリ向けに導入していたが、9月をめどに、全キャリアに拡大する。18歳未満が見知らぬ人とのトラブルを防ぐことが狙いだが、これは本質的な解決策にならない。

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 今回の「制限」は、18歳未満のユーザーの検索ができないというもの。既存のSNSではすでに実施されている。18歳未満と判断するのは、携帯の年齢確認機能を使うが、親名義の携帯電話(親ケータイ)の場合は意味をなさない。また、京都府警が閉鎖を要請したことが影響し、IDの交換できる掲示板「LINE!Match」なども新しくダウンロードできない。しかし、ID検索以外の「ふるふる」や電話帳連携でつながることができる。

 LINEを利用して児童ポルノ動画を交換したとして、京都府警は児童買春・児童ポルノ処罰法違反容疑で宇治市の高校2年生の男子生徒を逮捕。神奈川県の中学2年生の男子生徒を児童相談所に通告した。こうした事件を念頭に、京都府と京都府警は「LINE株式会社」(東京都渋谷区)に対して、違法・有害な情報の拡散防止対策を要請する文書を送付した。  

 LINEが事件のキーワードとして浮上し、京都府や府警が動いたのは、昨年10月に施行された「児童ポルノの規制等に関する条例」があるためだ。この条例は児童ポルノの単純所持を禁じ、違反した者には廃棄を命じることができる。事業者には児童ポルノの流通や拡散を防ぐ責務を課すものだ。

 

 ただ、これまでSNSで問題になっていたのは「ミニメール」だ。SNS内部のメッセージ機能を使って交流をするものだが、内容は外のユーザーが読めない。そのため、個人情報のやりとりが行なわれていた。総務省はこの対策に頭を悩ませ、結局、業者が自ら監視をすることになった。

 新しいサービスができるたびに、同じ問題を繰り返してきた。ミニメール同様に、LINEでのやりとりを監視するといった方向にでもなったら、費用対効果を考えてもバカバカしく、LINEそのものを否定することになる。

 広島少女死体遺棄事件では、自首した無職の少女(16)が「LINEで悪口を言われ腹が立った」と供述した。多くの同世代の友人らが参加しているグループチャットで言い争いになったという。その一方で、犯罪告白もLINEで行なわれた。

 この事件の場合、見知らぬ人とのトラブルではなく、加害者と被害者との関係は元同級生だ。知り合い同士のLINEでの悪口によって生じた怒りをコントロールできなかった。2004年に、長崎県佐世保市で小学校6年生の少女が同級生を殺害した事件があった。もちろん、ネットだけでなく、日常の人間関係の悪化も要因だが、コミュニティサイトでのトラブルも一因だった。

 インターネットは利用する以上、必然的に見知らぬ人とつながったり、日常的につながっている者同士が過剰なコミュニケーションをとる可能性がある。むしろ、機械的な利用制限ではなく、実践的に学んでいくしかない。



Written by 渋井哲也

Photo by Michal Marcol




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