韓国の大手企業グループのCJグループのイ・ジェヒョン会長が、巨額の秘密資金を他人名義で運用し546億ウォンを脱税したとして起訴された。
これは日本のニュースでも一部報道されているが、韓国ではこれと関連して興味深い噂が流れている。
それは「裏でサムスングループによる検察へのタレこみがあったのではないか」というものだ。
結論から言うと、根拠のないただの噂話だが、ここには一言では説明できないサムスングループを巡る根深い"身内騒動"が背景にある。
韓国の週刊誌「時事IN」はこれを「40年続く"会長たち"の戦争」と表現している。
サムスンとCJの母体は一緒だ。
起訴されたイ・ジェヒョン会長の父親で第一肥料元会長のイ・メンヒと、サムスン電子のイ・ゴニ会長はサムスンの創業者イ・ビョンチョルの息子で、兄弟なのだ。
現在、長男イ・メンヒと三男のイ・ゴニとのあいだでは創業者イ・ビョンチョルの遺産を巡る訴訟が係争中だ。
じつはイ・ビョンチョルが死亡したのは87年のことで、遺産分配はとうの昔に済んでいる。三男のイ・ゴニがメインのサムスン電子を相続し、長男であるイ・メンヒが相続した系列会社の第一肥料を息子のイ・ジェヒョンがCJグループへと成長させ、今に至る。
しかし07年、イ・ゴニ以外の兄弟には知らされなった遺産があったという事実が明らかになった。イ・ビョンチョルが生前、他人名義でサムスン生命、サムスン電子の株を所有していたというのだ。これはサムスンの元顧問弁護士が裏金として暴露したことで明らかにされ、検察の捜査も行われた。イ・ゴニは問題を回避するために、すぐに株式を自らの名義に変更した。
しかしすんなりと問題は解決しなかった。父親の株だったのであれば、ほかの兄弟にも権利があるのではないかと、イ・メンヒが昨年2月にイ・ゴニに対してサムスン生命の824万株を求めて提訴したのだ。
イ・ メンヒは60年代まで後継者として目されていた。父親のイ・ビョンチョルがサッカリンの密売で逮捕された際には、系列会社らの重役に就き、事実上、会長の 役割を果たした。しかしイ・ビョンチョルが釈放され、会長職に復帰する兆しがみえたころ、大統領府に不正や脱税を暴露する手紙が届いた。世間はイ・メンヒが行ったことだと噂した。イ・ゴニはぶら下がり取材で兄のイ・メンヒについて訊かれた際、「うちの家系で彼を長男だと思う人はいない。30年前に父を大統領に告発した人間だ」と発言したことがある。マスコミの取材を嫌い、発言にも慎重なイ・ゴニの言葉だけに信憑性も増した。
本人は否定しており、一部では次男でセハンメディアの元会長イ・チャンヒがやったことだとも言われている。
なにはともあれこの騒動で得をしたのはサムスンの会長に就任した三男のイ・ゴニだ。
自著で「父も私が(密告に)介入したと思っている。しかし私は誓って無関係だ」と書いているイ・メンヒが、いまだに恨んでいることは想像に難くない。
株の相続問題は単なる身内のもめごとでは終わらない。イ・メンヒの訴えが通れば、サムスングループのメイン企業の経営構造が否応なく変わるからだ。
いまや日本のメーカーを圧倒する世界企業となったサムスンをめぐる"お家騒動"から目が離せない。
Written by 李ソヨン
Photo by sheelamohan
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