マンガ家・芸術家のろくでなし子が、3Dプリンター用の自身の性器データを支援者らに送り付けたとして、わいせつ電磁的記録頒布の罪などで起訴された。これは性器を型どったボートを川に浮かべる企画へ出資してくれた人へのお礼として、ボート制作に使用した性器データを送付したことが「わいせつ物をばら撒いた」とみなされ、起訴に至ったもの。彼女は今年7月にも同様の容疑で逮捕されたが、そちらは処分保留となっていた。
また、ろくでなし子を雇用する立場であり、彼女の逮捕の不当を訴えていた北原みのりも、経営するアダルトショップにろくでなし子の性器を模した作品を並べていたことからわいせつ物陳列罪容疑で逮捕されていたが、こちらは北原が容疑を認め30万円の支払い命令が下った。
※参考リンク
・ろくでなし子逮捕は新技術に対する威嚇か? 女性器3Dデータ配布騒動
http://tablo.jp/case/society/news001580.html
・オタクは規制、芸術はOK...ろくでなし子事件で「自称フェミ」がトンデモ大暴論
http://tablo.jp/case/society/news001589.html
・ろくでなし子氏と北原みのり氏逮捕に「ざまあみろ」の声が上がる背景
http://tablo.jp/case/society/news001822.html
さて、ネット上では北原のこれまでの差別的な言動に反感を持った人々が中心となり、ろくでなし子も一緒くたにして批判を展開していた(私も含む)が、一連の騒動が進む中で "ろくでなし子" と "北原みのり" の違いが鮮明となってきた。今後は両者を同一視して語ってはならないのではなかろうか。
というのも、今回の公判でろくでなし子の主張はまったくブレず、「性器はわいせつ物ではない、よって私の活動に違法性はない」と繰り返し述べていた。これは "好意的に見れば" 刑法175条のわいせつの定義への問題提起であり、改正のための戦いだと受け取ることもできよう。少なくとも、ろくでなし子はそう主張していいだけの身体の張り方をしている。(ただし現状では違法性が消える訳ではない)
ろくでなし子のブレなさは痛快と呼べる域まで達しており、公判中に「マ○コ」を連呼したことから、裁判官が「それ以上マ○コって言わないで! マ○コって言うなあ!」とムキになるというコント的な展開をもたらした。この性器の呼称をめぐるバカバカしさ、アホらしさ、どうでもよさを演出できた時点で、ろくでなし子の技ありではないかと思う。
現在の日本の法曹は、小学生の「バカって言った方がバァ~カ!」的なレベルで「マ○コって言ったら犯罪者! わーわー!」という笑うに笑えない状況にあるようだ。以前モンティ・パイソンのコントで同じようなネタを見た気がする。このくだらなさを世間に知らしめた点だけでも、ろくでなし子の戦いを評価したい。
ところが、問題なのはろくでなし子の支援者を名乗り、援護射撃という名の警察への挑発を繰り返していた北原みのりである。彼女は自身が逮捕されるまでは「女性の性は差別されている!」「ろくでなし子の活動は芸術だ!」「女性器はわいせつではない!」といった論調だったが、いざ自分が逮捕されたら略式で金を払っておしまいにしてしまったのだ。これがどういう事だか解るだろうか?
略式という事は、北原は "わいせつ" について戦う姿勢を見せず、むしろ「ろくでなし子の性器作品はわいせつ物である」と認めてしまったのである。罪を認めたから略式で30万円払うだけで済んだのだ。これは奮闘を続けるろくでなし子を見捨てたも同然で、むしろ「わいせつか否か」を争点にしたいろくでなし子にとっては裏切りに等しい行為であろう。なんせ一番の支援者が「ろくでなし子の性器はわいせつです」と認めているのだから、心情を察するに余りある。
上の参考リンクの記事にも書いたように、北原は余計な言動を繰り返し、ろくでなし子を応援したい、支援したいという人間を減らし続けた。自身のオタクや男性向けの性産業への差別的な感情を抑えられず、ろくでなし子を擁護したいがために何故かオタクやロリコンを批判するという意味不明さであった。当初は北原と敵対関係にある児ポ・表現規制反対派の人間ですら、ろくでなし子の逮捕の不当性や175条のおかしさを指摘していたのに、北原が様々なメディアで騒げば騒ぐほど「やってられるか」と離れて行き、遂には北原とろくでなし子を同一視するしかなくなってしまった。この「自身の偏った主張を再優先してろくでなし子の支援者を減らした」というのが北原の第一の罪と言える。
こうした背景があるというのに、北原はとっとと「ろくでなし子の性器作品はわいせつ物です」と認めてしまったのだ。これでは「いいぞもっとやれ!」とけしかけた挙句、架けたハシゴを外し、ろくでなし子ひとりを追い詰めただけである。これが北原の最大の罪だ。味方を減らし、警察を挑発し、ろくでなし子の背中を押しまくり、自分だけ逃げるとは、ハナからろくでなし子を追い込む事が目的だったのではないかと思いたくなるような愚行中の愚行である。いったい北原は何がやりたかったのか?
こう言うのもナニがアレだとは思うが、今回の一連の流れのお陰で、ろくでなし子と北原みのり一派をハッキリ分けて考えられるようになった点だけは救いかもしれない。私は違法行為は違法行為であるとした上で、それでもろくでなし子の身体を張ったブレない戦いは応援したいと思う。それと同時に、味方を置き去りにして敵前逃亡した北原みのりには、今後ろくでなし子騒動についても、わいせつ・表現の問題についても、何も語る資格はないと言わせていただく。
Written by 荒井禎雄
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