JKビジネスや着エロビデオ規制を求める要望書の摩訶不思議な中身

2015年11月02日 JKビジネス 児童ポルノ禁止法 着エロビデオ

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 "実在する" 未成年者を使った 「JKビジネス」 や 「着エロビデオ」 等の規制を強めるため、児童福祉法や児童虐待防止法の改正を求める要望書が、NPO団体らにより厚労省に提出された。

 意味の解らない二次元規制に比べれば、よっぽどまともな意見ではあるが、ジュニアアイドル業界のあまりに酷すぎる実態を知っている身としては、遅すぎるとも言いたくなる。 この要望書に名を連ねているメンバーの中には、二次元規制に躍起になっていた人間も多く含まれており、未成年者を性被害から守りたいと本当に思っているのであれば、マンガやアニメを攻撃するより先に、最初からコレをやるべきだったのではないだろうか。

●NPO団体らが提出した要望書「対象は15歳未満」の謎

 ところが、やっと本気で未成年者を守るための動きが見えて来たのかと思いきや、この要望書には無視できない問題点があった。 なんと、対象を15歳未満に限定しているのである。この要望書で指摘しているのは大きく分けて2つ。 まずは小学校低学年の子供に水着を着せ、卑猥なポーズを取らせているような着エロビデオを法規制すべしという意見。 そしてもう1つは、いわゆるJKビジネスを法規制すべしという意見。

 前者に対しては、児童ポルノ法だけではなく児童福祉法が適用されるように改正せよと、後者についても、児童福祉法や児童虐待防止法で裁けるようにせよと主張しており、この点だけはごもっともな意見であろう。

 過去に何回かJKビジネスが本格的なセックスワークへの入り口になっており、未成年者を簡単な仕事で慣れさせておいて、段々とよりエゲツない道へ追い詰める流れが出来ていると指摘した。 そうした道にハマり込んで抜け出せなくなる前に、JKビジネスの段階で防ごうにも、売防法も児童福祉法も適用できず、労基法で無理やりに摘発しているのが現状だ。 よって、より重い刑罰を与えられるような土台を作るべきだという意見には聞くべきものがある。これらついては、過去の記事で詳しく述べているので、お暇な時にでも目を通していただきたい。

※参考記事

『JK撮影会が初摘発...児ポ法で揺れる「女子高生ビジネス」の現在』

『JKリフレ店「個室でプロレス技」で摘発、深刻化するロリコンビジネスの盲点』

『「もっと尻を突き出せ!」バカ親に売られるジュニアアイドルと児童ポルノ法の問題点』

 今回の要望書は、二次元を含む含まないでゴタゴタした児童ポルノ法騒動を考えれば、実在する未成年者を直接守れるようになるのだから、随分とマシな意見になったもんだと評価すべきだろう。 しかしそれは "ただし15歳未満に限る" という意味不明な年齢制限がなければの話だ。

 ちなみに、児童の権利に関する条約、児童福祉法、児童ポルノ禁止法などでは、児童とは満18歳に満たない者を指す。 少々乱暴な言い方になるが、今回の要望書は、その定められた年齢を15歳まで引き下げろと言っているかのようである。

 この15歳未満と区切った理由について、賛同者のひとりである 『NPO法人シンクキッズ--子ども虐待・性犯罪をなくす会』 の代表理事・後藤啓二弁護士は、「着エロの出演者(被害者) は低年齢の場合が多いから」 というトンデモ理論を展開している。

 ちなみにこの後藤氏は警察OBで、日本ユニセフ等と組んで児童ポルノ法に二次元作品を含めろと言ってみたり、東京都の青少年条例の改正案が否決された際に 「二次元を含む事に反対した民主党は、おぞましい児童ポルノ漫画家の側に回った」 と暴言のようなレッテル貼りをしたり、冤罪が多少あろうと児ポの単純所持を禁止せよと吠えていた方なのだが、そんな御仁が実在する未成年者を守ろうという話になった途端に、既存の "児童の定義" を無視して 「15歳未満に限ろう」 と言い出した理由をぜひお聞きしたい。

 アホな言い方になるが、対象が15歳未満という事は14歳までという事である。 という事は、15歳~17歳という "最も濃いブルセラゾーン" に関しては児童福祉法にも児童虐待防止法にも含まなくて良いというお考えなのだ。 コレに対するツッコミへの返答が 「もっと低年齢の子供が~」 ではあまりに稚拙と言うよりない。 未成年者を性被害から守ろうと本気で考えているのならば、迷うことなく "未成年者すべて" を対象とするはずだ。 そこに同じ未成年者の中で年齢制限を設けるとは、"その年齢で区切らねば不都合な何かがある" と思われても仕方ない。

 また、今現在性被害に遭っている15歳以上の未成年者が今回の要望書の中身を知ったらどう思うだろうか。 「私達は守って貰えなかった、切り捨てられた」 と、より深い絶望を味わうだろう。 そんな事にさえ思いが至らない人間達に、子供の権利だなんだと口にする資格があるのだろうか。

 彼らは、このような胡散臭い、いい加減な事をやるから、散々批判されているのだと自覚すべきだ。 後藤氏にしろ、同じく賛同者であるライトハウスにしろ、"15歳未満に限る" としてしまった事で、お里が知れてしまったと反省すべきである。本気で未成年者を守る気がないならば、子供を自分達の政治主張の道具にすべきではない。

Written by 荒井禎雄

Photo by Thomas Leuthard

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