6月13日の参院本会議にて、成人年齢を20歳から18歳に引き下げる「18歳成人」の改正民法が可決し、成立しました。施行は2022年4月1日ですが、まだまだややこしい課題がいくつも残っているようです。
大学受験時期と重なる成人式の開催についてや、誕生日により同学年に高校生と成人が混在することへの混乱、少年法の適用年齢が20歳未満から18歳未満に変更されるのか、などなど。
一方、これまで未成年には禁止されていた酒や煙草、ギャンブルなども18歳から解禁されるのかと思いきや、そこは健康被害やギャンブル依存症への懸念により、変わらず20歳からのまま。
でも、親に同意のないローン契約は、18歳からOKに。上川陽子法務大臣が「消費者教育を通じて若年者が判断能力を身につけられるよう、環境整備に万全を期したい」と記者団に話しましたが、いや酒や煙草の健康被害と同じで、環境整備されたところで18歳のアホな脳みそに突然判断能力が備わるわけないと思ってしまうのですが。
18歳ーーあなたは何をしていましたか?
18歳のあの日、わたしは高校3年生でした。
池袋の喫茶店にて、目の前で全盛期の酒井若菜似の友人A子が、出会い系掲示板で「プチ援交」の交渉を行なっています。
「JKってだけで相場が上がる」そうで、「マンキツで手コキ1万円」で交渉成立していました。ホクホク顔で手帳に「1」と書き込んでいました、が......。
ハイここ! これが「18歳成人」だとすると、相場はだだ下がり。おそらく「JKって言っても成人なんでしょ? ハイ5千円で手コキね」くらいになって、友人がホクホク顔になることはなかったでしょう。
パパ活が主流の現在はあまり関係のない話かもしれませんが。
またある日、藤原竜也を虫みたいにした友人のB男が、13歳の中学生と付き合いはじめました。「俺ってロリだから(笑)。淫行で逮捕されるんじゃね?(笑)」と、知ったような口を効き武勇伝風を吹かせていました、が......。
ハイここ! 淫行条例は「青少年(既婚者を除く18歳未満の男女)との淫行、みだらな性行為、わいせつな行為などを規制する条文」ですが、このときならば、中学生と同じように未熟な青少年である18歳の高校生を処罰することは、淫行条例の趣旨に反していたでしょう(※実際、そうした判例があったようです)。
が、「18歳成人」となると、もはや青少年ではありません、逮捕されてしまうかもしれませんね。
ちなみに、「18歳成人」にともない、女性の結婚できる年齢が16歳から18歳に引き上げられることになりました。40歳で16歳の三船美佳と結婚した高橋ジョージは、2022年以降だったら結婚できなかったということです。
またある日、ドンファン妻激似のバイト仲間C子が、街で「AV女優になりませんか」とスカウトされました。彼女は派手な風貌のためか、歌舞伎町を歩くとこの手のスカウトをよく受けていたのですが、「高校生ですって言うとすぐ引き下がってくれる」と、撃退法を教えてくれました、が......。
ハイここ! 「18歳成人」ならばスカウトは、「でも18歳以上なんでしょ? 成人じゃん! いったれいったれ〜!」とグイグイきて、あれよあれよと事務所を紹介され、成人ですから保護者の同意なく契約ができ、めでたく所属。
その日のうちに裸の宣材写真を撮り芸名をつけられ、一週間後にはAVメーカー回り。メーカープロデューサーから、「今さ、"高校生成人DEBUT"っていうシリーズものがあって、すごく人気なんだよね。きみもこれをデビュー作にしちゃおうか。で、13本契約でさあ」なんて話をされ、3ヶ月後には、『高校生成人DEBUT23 野巻さちこ 18歳。本物JKがどスケベにハメまくり15連発』なんていうタイトルでDMM.comから配信されることでしょう。
お金がない、18歳だった自分
さて、わたしはというと、ヴィジュアル系のおっかけで全国をまわなければならなかったため、とにかくお金のない日々を過ごしていました。
母親が隠している、自分のお年玉貯金の通帳と印鑑はどこにあるのか......それだけを考え生き、母親不在を狙い空き巣のごとく部屋の隅々まで漁っていました。金金金金金金金金、頭の中はそれだけでした、が......。
ハイここ! 「18歳成人」なら借金し放題。「期日までに105万円を指定の口座に振り込んでください」という本物の督促状が来て自分以上に家族がビビり、結局親に迷惑をかけまくることでしょう。青少年が架空請求にビビり「あのエロサイト見たからだ......どうしよう......」と親に言えずに悶々とした日々を過ごす、なんていう可愛い現象は、もはやなくなってしまうかもしれません。マジモンがくるから。
いや架空請求以前に、騙されまくりかもしれません。
えー......だって、成人後の20歳当時だって、一体何度騙されたよ......。
痛々しくも一度だけ芸能人に憧れて、変なオーディションに参加して、「オーディション参加費」名目で3万円むしりとられたでしょ?
自己啓発セミナーに元同級生から勧誘されて、悪名高き学生ローンにいざなわれ、そこで借りた4万円の存在が、社会人になってまで苦しめられることになるとはこのときはまだ知る由もなかったし、マルチ系化粧品も経た経た。
20歳でもこのありさまですから、18歳ともなると一体どうなってしまうんでしょうか。
......と、このような心配は野暮ですよね。だってわたしが特別にアホだっただけ。上川陽子法務大臣がおっしゃるように、数年先の18歳は、立派な教育のおかげでいろいろなことが的確に判断できる、賢い成人を迎えることになるのでしょうから。(文◎春山有子)
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