アンジュルムに電光石火の新メンバー加入！　何が起きてもビクともしないダイバーシティ・アイドル

上段左から中西香菜（サブリーダー）・勝田里奈・和田彩花（リーダー）・竹内朱莉・（サブリーダー）・佐々木莉佳子、下段左から川村文乃・室田瑞希・上國料萌衣・船木結・笠原桃奈

　ハロー！プロジェクトのアイドルグループ・アンジュルムのライブツアー「アンジュルム 2018秋　電光石火」千秋楽公演が11月23日、パシフィコ横浜国立大ホールで開催。昼公演では2人の新メンバーもお披露目されました。

　来年の春ツアーをもってリーダーの和田彩花が卒業することが決定しており、ともすれば"卒業までの花道"に入ってもおかしくないという状況。そんな中で新メンバー2人が加入するというのは、お決まりパターンを歩むことのない破天荒なアンジュルムらしい動きだと言えるでしょう。

　今回加入されたのは、14歳の伊勢鈴蘭（いせれいら）と15歳の太田遥香（おおたはるか）の2人。ともに北海道出身の中学3年生です。

　伊勢鈴蘭は、ハロー！プロジェクトが今年開催した「ONLY YOUオーディション」の参加者。このオーディションは、ハロプロの新グループ「BEYOOOOONDS」のメンバーを選出するために開かれたものですが、そちらではなくアンジュルムのメンバーに選ばれました。BEYOOOOONDSのほうのオーディション結果が発表される前に、アンジュルム加入者がお披露目されるという驚きの展開です。

　伊勢さんがいったいどんなキャラクターなのかは今後徐々に明らかになっていくと思いますが、現時点で判明しているのはダンスが得意だということと宝塚鑑賞が好きだということ。そして、ハロプロにはあまり興味がなく、お姉さんが勝手にオーディションに応募したところ、アンジュルムのメンバーになってしまったということです。とはいえ、アクが強いメンバーが揃っているアンジュルムに入ってくるわけですから、おそらく相当な個性の持ち主のはず。今後に期待です。

　そして、太田遥香は2016年7月から「ハロプロ研修生北海道」（通称：北研）のメンバーとして北海道を中心に活動。ニックネームは「はーちゃん」。北研の中では最年長ですが、かなりほんわかした性格で、いわゆる天然といった雰囲気です。北研加入当時は背も小さく、見た目も子供っぽかったのですが、ここ1年くらいで急激に大人っぽくなってきています。ちなみに、北研からハロプロの正規メンバーに昇格したのは、はーちゃんが初となります。

　オーディション組とハロプロ研修生北海道というこれまでにない組み合わせの2人が同時に加入するという意味では、かなり挑戦的な人事です。もしかしたら、過去にない人事をアンジュルムで試しているということなのかもしれませんが、そういったチャレンジが可能なのもアンジュルムならでは。多様性を受け入れるだけのキャパシティーと、何事にも柔軟に対応できるフレキシビリティーを持ち合わせる稀有なグループがアンジュルムなのです。

どんなグループなのかを言い表せられない

　さて、話は変わりまして、今回のツアーですが、メンバーの個性を強く押し出すことが多かった最近のアンジュルムからすると正反対のコンセプトのものでした。特に大阪と横浜で行われたホール公演では、最近の特徴だった"メンバーごとにバラバラな衣装"は封印。すべて統一感のある衣装でのパフォーマンスとなりました。さらに、スマイレージ時代の楽曲も含めて"クール系"あるいは"ダーク系"の曲を多く揃えるというセットリストも特徴的。個性派集団として完成されつつあったものを深めるというより、グループとしての統一感を意識したうえで、格好いいパフォーマンスを追求するかのようなステージとなっています。

　リーダー和田彩花の卒業が迫りつつあるというのに、自分たちのセールスポイントを封印して、クールな姿を見せたアンジュルム。新メンバーが加入することと同じで、ここにもまたチャレンジングな姿勢が見えるわけです。リーダーの卒業に向けて、盛り上げるという意識はもちろんあるのでしょうが、それ以上にグループとしての可能性を広げていくことに力を注ぐという貪欲さ。また、大きく一歩前進したツアーとなったのです。

　たしかに、「アンジュルム＝個性派集団」というイメージは強い。でも、そのイメージだけが定着してしまうことで、アンジュルムのほかの可能性が閉ざされてしまうかもしれない。個性的なメンバーが揃うアンジュルムなのに、グループのイメージが「個性派集団」だけに固定されてしまうのは、どうなのだろう──。そういったジレンマを打破するという意味で、「電光石火」はとても重要なツアーだったと思います。今回は、統一感のあるパフォーマンスでクールな姿を見せましたが、次のツアーではまた別のコンセプトで作り上げてくるはず。アンジュルムそのものの可能性は無限に広がっていくのです。

　このまま進んでいくと、和田彩花が卒業するころのアンジュルムは、今とは全く違うものに進化している可能性もあるでしょう。今のアンジュルムが好きだというファンは、いくらかの不安を覚えているかもしれませんが、今回のMCで和田彩花は「半年後を楽しみにしていてください」と、自分が卒業する頃には現体制を凌駕するアンジュルムを作り上げると宣言しました。あやちょが言うなら大丈夫。変わり続けるアンジュルムに期待しましょう！（取材・文◎大塚ナギサ）

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