信玄餅の「おいしい食べ方」をご存知でしょうか。
通常、カップにいれたまま、きなこのくぼみに黒蜜をかけて、どうにかこぼさないように必死の形相で丁寧にまぜながら食べますよね。
結局、きなこはこぼれてしまいますが、カップを包んでいるビニールの風呂敷がいわゆるランチョンマットの役割をしてくれるから安心です。
......と、わたしもそう思っていました。
けれど、どうやらカップからおもちを出して食べるのが正解と聞きました。
嘘だろ、と半笑いでさっそく公式サイトを見てみたところ「おいしい食べ方」のページにはこう書いてあります。
ー広げた風呂敷の上にお餅ときな粉をのせ、黒蜜をかけ、風呂敷を包むようにお餅をもんできな粉と黒蜜をよく混ぜお召し上がりください。ー
あのビニール風呂敷はランチョンマットどころではなく、そこにお餅を出すものだったのです。
でも「おいしい食べ方」というのですし、半信半疑でやってみました。
まずはお餅を取り出します。
カップをさかさまにした途端、こぼれ落ちてくるきなこに不安が隠せません。
カップから出してみるとちょっと駄菓子みたいに見えます。ここに黒蜜をかけるのか......。透明のビニールに黒蜜をぶちまけるのは少し勇気がいります。
テーブルに流れ出さないように、そっとボトルを押します。
カップに入れたまま黒蜜をかけるときと同じで、きなことは混ざらずにどんどん流れていきます。
そして、『風呂敷を包むようにお餅をもんできな粉と黒蜜をよく混ぜ』です。
これをもむのか......あまり気がすすみません。
四方をまとめて、浅漬けを作るときのようにぎゅっぎゅっともんでみます。
黒蜜をかける位置がわるかったのか、きなこが片側にかたまってしまい、なかなか混ざりません。
しかし、信玄餅のお餅は弾力があるので、わりと力をこめてもんでもつぶれません。まるで形状記憶です。
だいたい粉っぽくなくなったかな? というところで、風呂敷を開いてみました。
みたらしだんごに似ています。
少しきなこが残ってしまったのですが、それをまわりにつけながらいただきます。
......おいしい。黒蜜ときなこがトロンとしたシロップになってちゃんとお餅をコーティングしてくれるので、"最後にあまったきなこと黒蜜が中途半端にまざったものを、付属の木ベラでちょっとずつすくってどうにか食べようとする"という面倒なこともしなくてすみます。
さすが公式がおすすめする食べ方。今後はこうやって食べようと思います。ちょっと見た目にお行儀がわるいのですが、ぜひ、ひとりでこっそりとやってみてください。
ごちそうさまでした。
文◎なるみや