福島の原発作業員に勧められた思い出の料理・『メヒカリの唐揚げ』

2018年01月16日 

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僕はその土地土地で「お? 美味い」と思った料理と店をメモするようにしています。

銀座とか新宿はまあ、検索すればわかるのですが不明な「店」と「料理」があります。

一つは群馬・伊勢崎市の神社(?)の駐車場で人が並んでいる光景に出くわしました。不思議に思ってみているとそこに軽トラックが停まり、持ち帰り用のコロッケを販売していたのです。ほっこりして美味かったです。が、今となってはその場所が思い出せません。別の取材に頭がいっぱいでメモするのを忘れていました。

二つ目。新潟に出張した時です。万代橋を渡ると中心街で、その付近だと記憶していますが、老夫婦二人でやっているラーメン店に入りました。木造でカウンターだけの小さな店だったと思います。そのラーメン(醤油味)がめちゃ美味くて、思わず女将さんに「美味いっすね!」(僕は思った事をつい口に出してしまう癖があります)と言いました。女将さんは厨房のご主人に耳打ちします。頑固そうなご主人が「え?」と聞き返します。女将さんが少し大きな声で「美味しいって!」というとご主人はうつむきになり赤面して、「ああ」みたいな声でうなずいていました。店名と場所、酔っていたため忘却です。美味かった。

さらにもう一つ、思いでの味があります。それが『メヒカリ』です。

某日、都内某所で飲もうと思っていると、「メヒカリの唐揚げ」というメニューが目に入りました。


「メヒカリかぁ」


2011年夏。福島第一原発の取材の為、僕は福島県いわき市にいました。20代前半の作業員にインタビューを試みました。なかなか打ち解けてくれなかった作業員ですが何回か飲んでいるうちに、雑談に応じてくれるようにななりました。

「この辺て何が美味しい?」と聞くと、地元で生まれ、地元の福島第一原発に勤め、福島第一原発で死ぬ思いをしたその若い作業員は言いました。

「メヒカリを食べて欲しいっすね」

そこでいわき市の寿司屋に入り、握ってもらいました。地元で地元の人が薦める食材は最高でした。回転寿司でも美味しいです。いわき駅の駅ビル「ラトブ」の地下一階の回転寿司も十分美味いです。仕入れによっては「メヒカリの寿司」が食べられるかも知れません。

「メヒカリが食いたい」

都内の某居酒屋に店内に入ってすぐ「メヒカリの唐揚げ」を注文しました。ほっこりしています。優しい白身の味です。マヨネーズでも良いのですが、岩塩で食べるた方がメヒカリの優しい味が引き立つのではないでしょうか。メヒカリは都内でも食べさせる店が増えているみたいですね。今度は寿司で食いたいです。小魚の唐揚げとしては、シシャモよりメヒカリを僕は推します。とは言え本シシャモも本当に美味いですけどね。僕の思い出の味としてはメヒカリという事で。


文◎久田将義

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