モーニング娘。'18の全国ツアー『モーニング娘。誕生20周年記念コンサートツアー2018春~We are MORNING MUSUME。~』が3月17日のオリンパスホール八王子公演からスタートしました。工藤遥卒業後、13人体制となって初めてとなるこのツアーに早速行ってきました!
筆者が見たのは18日の昼公演。セットリストのネタバラシは控えますが、ツアータイトルの通り、20周年の歴史を感じさせるとともに、モーニング娘。'18の最新型を存分に楽しむことができる内容でした。
特筆すべきは、今回初披露となった未発表の新曲『A gonna』でしょう。これで[えーがな]と読みます。この独特すぎるワードセンスからも分かるように、作詞作曲はつんく♂。いかにもつんく♂らしい変態性を帯びた、クールでクレイジーな名曲です。
この『A gonna』のような挑戦的な楽曲が20周年記念ツアーで初披露されるというのが、モーニング娘。のすごいところでしょう。歴史を振り返るだけでなく、常に新しいチャレンジをして、確実に進化を続けている姿をサラッと見せているわけです。しかも、その進化の方向がまた独自すぎる。ライブ全体を通して言えることですが、"アイドルの王道"と呼ばれるようなパターンが出てくることは皆無。完全に"ここにしかないエンターテインメント"が広がっています。
ここ10年くらいの"アイドルシーン"は少なからず"トレンド"に左右されてきました。ブレイクするグループがあれば、そのフォロワーがいくつも出てくる、というお決まりの流れを繰り返しています。しかし、モーニング娘。は、その"流れ"とは完全に乖離しています。それが良いとか悪いとか、どっちが上とか下とか、そういうことではなく、シーンとかけ離れた場所で独自に進化するモーニング娘。が、絶対的に存在しているのです。
こういった"絶対的な独自性"が、モーニング娘。が20年も続いている理由なのだと思います。誰かと比較して自分たちの立ち位置を決めるのではなく、ただただ自分たちの道を極めていく。誰かと戦っているわけでないから、永遠に勝負はつかない。勝負がつくことはないから、永遠に挑戦し続けなければならない──そうやってエンドレスに新しいものを創り続けているのがモーニング娘。なのです。
とはいえ、エンドレスに創造を繰り返していると、時に暴走気味になってしまうこともあるはず。もしかしたら、最近のモーニング娘。における"つんく♂的変態性"が強い楽曲は、暴走なのかもしれない...なんて思う人もいるかもしれません。でも、そういった暴走が許されるのは、やはり20年という偉大な歴史があるからでしょう。過去の功績によって、しっかりと地盤が固まっているからこそ、新たな挑戦と自由な進化ができるのです。そして、未来のモーニング娘。たちが自由に進化できるように、今のモーニング娘。'18も確実に歴史を刻んでいるのです。
兎にも角にも、20年の歴史と新たな進化をこれでもかと言わんばかりに体験できる今回のツアー。「『A gonna』という奇曲が成立するのはモーニング娘。'18だけだ」という事実を確認するだけでも、十分に一見の価値があるものだと思います。(取材・文◎大塚ナギサ)
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