5月20日、警視庁は出入国法違反の疑いで中国籍の賈羽容疑者(31)を逮捕した。容疑の内容は、歌舞伎町のマッサージ店で中国人留学生2人に性的サービスをさせた疑い......つまりは不法就労だ。2年間で2億4000万円の売り上げがあったというから、このご時世に大したものだが、31歳という年齢をうがってみれば、あれこれ背景を覗いてみたくなる案件でもある。
正直、かつてに比べれば中国人が歌舞伎町でひと稼ぎできる要素は減った。それは、石原都政以降の風俗街粛清、特に中国人絡みのシノギ摘発徹底も影響しているのだろう。そんな状況下、それとは逆の立場、中国人観光客による歌舞伎町での経済活動は相変わらず右肩上がりなのだ。
従来からある、ドラッグストアのような店舗の需要はひと段落した感はあるが(というか安定した)、そこから一歩踏み出したインバウンド需要はとどまるところを知らない。わかりやすい例をあげればグルメ系である。歌舞伎町周辺でも通好みのラーメンや焼き鳥はもちろん、こんな専門的な店まで? というところで、いまや中国人観光客の顔を見ない日はない。特に若い世代は訪日前に事前に情報を仕入れていることが多く、それらを狙い打ちで訪れることも少なくない。
また、彼ら若い世代ほど情報に敏感ではない中高年観光客などの場合でも、ありきたりのツアーでは見られない刺激を歌舞伎町に求めている。なかでも筆者が驚いたのは、中高年男女による"風俗街探訪ツアー"である。これは、歌舞伎町にある店舗型風俗であるソープやヘルスを巡り、その意味と内容をガイドするというものだ。ツアー客のなかには年配の女性もいるので、当然「サービス」を受けることはないが、当該店舗の前まで出向き中国人ガイドが事細かに内容を説明する。
その様子は遺跡などの観光名所を案内するのとまるで一緒で、プレイ内容、歴史、どんな女の子かなどを素人にもわかるように説明しているようである。一体ガイドがどこまで実態を把握しているかまでは、中国語を話せない筆者にはわからないが、少なくとも現場を見た感じではツアー客らは時に爆笑をするなど、それなりにエンジョイしているように見受けられた。
当然であるが、そこには風俗店の関係者(呼び込みなど)もいるワケであって、彼らの対応もある意味興味深かった。関係者は「困った連中だ」と言った感じで苦虫を嚙み潰したようように立っているだけで、ツアー客やガイドに抗議をする様子は見られなかったのだ。もし、であるが、同じことを日本人がやればトラブルになることは間違いない。
正直、このようなツアーはレアではあろうが、ガイドの中国人らしい商魂逞しさはさすがとも言える。このように歌舞伎町における外国人観光客の在り方は、ひと昔前と比べて大きく様変わりした。そうした現実をみれば、歌舞伎町の中国人=金を稼ぎにくる人、というステレオタイプは通用しなくなっていることがわかるのではないだろうか。(取材・文◎鈴木光司)
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