ナムサイ(2018年11月25日、Cat Expo 5にて)
AKB48の海外姉妹グループでタイ・バンコクを拠点に活動するBNK48にとって初めてとなる選抜総選挙の開票イベントが1月26日(土)に開催され大いに盛り上がったことは先日お伝えしましたが、同時にBNK48にとって最大の危機となり得たある事件が起きていました。
カワイイ写真多数!:BNK48、初の総選挙で栄光を掴んだメンバーたちが美しい!!!!
選抜総選挙開票イベント当日午前中に開催のBNK48コンサートのリハーサルが前日25日に行われ、その模様を伝える写真記事があるウェブサイトに掲載されたのですが、その中にメンバーの一人がナチのカギ十字がデザインされたTシャツを着てリハーサルに臨んでいる姿が写っていたのです(その後写真を削除)。
本サイトでも第一報を配信済み:バンコクのアイドルBNK48のナチスシャツ騒動で、タイメディアが旭日旗を使用禁止と報道のなぜ
問題のTシャツを着ていたのはナムサイ(本名ピチャヤパー・ナーター、19歳)。
人気と比例して最近増加傾向にあるアンチBNK48勢が気付いて早速SNSで攻撃を展開したのはいつものことでしたが、今回はそれだけは勿論済むはずがありません。在バンコク・イスラエル大使館公式ツイッターが26日のうちにBNK48を名指しして「歌手が身に着けたナチの服装に対する衝撃と落胆」を表明したのです。
折しも翌27日はホロコースト犠牲者を追悼する「国際ホロコースト記念日」という最悪のタイミングでした。
日本人としては雑誌『マルコポーロ』が廃刊となったあの出来事が頭をよぎります。
参考資料:「BLACKザ・タブー」突然の休刊、連載陣のひとりとして|久田将義コラム
しかしBNK48運営はここで迅速な対応を見せました。翌27日(日)には国内外のAKB48グループ7グループによる合同コンサートが選抜総選挙と同じ会場で開催されるという超多忙な中、支配人Job氏がナムサイとともにイスラエル大使公邸を訪問して駐タイ・イスラエル大使に直接謝罪したのです。
大使は、知識と意識の欠如から生じた行為であることに理解を示して謝罪を受け入れました。その代わりBNK48メンバーは将来的にイスラエル大使館とともにホロコーストの啓蒙活動に参加することを同意しています。
早速29日に国連主催の「国際ホロコースト記念日」式典に支配人Job氏とナムサイを含むBNK48メンバー4名が参加したことで、今回の騒動が早くも解決へと向かいました。
また駐タイ・ドイツ大使も27日にツイッターで「BNK48メンバーにナチス独裁政権の恐怖について話し合うよう招待します」と発信し、実際29日に支配人Job氏とナムサイがドイツ大使館を訪れ大使と面会を果たしています。
1/27支配人Job氏・ナムサイがイスラエル大使公邸で謝罪
最悪の場合グループの命運にも影響していたかもしれない今回の出来事は、BNK48運営の迅速な対応のお陰で大事になる前に沈静化させることができました。SNS上ではナムサイを批判する論調が多く見られましたが、ひとえにナムサイだけが悪いとは言えないとの声の方がむしろ多い印象です。
ナムサイは「タイの東大」と言われるタイ最難関、国立チュラロンコン大学の理学部1年生。26日の選抜総選挙開票イベントの際、30位ランクイン時のスピーチで「知らなかった」と泣きながら謝罪したとおり本当にナチのカギ十字についての知識がなかったのだと思われます。知識があれば当然着ていないだけの賢さを彼女は間違いなく持っています。
そんな馬鹿なと日本人には感じられますが、現地SNSの論調を読む限り、タイの学校での歴史教育は質に問題があるために学生の半数以上はナチの歴史を知らないようなのです。
また問題が起きたリハーサル時、大人の現場スタッフが何人も居合わせていたはずなのに、なぜ誰も注意しなかったのかという疑問も生じます。奇しくもBNK48劇場前でファンを大声で罵倒した現場スタッフがSNSで炎上したばかりでしたが、最近雇用された現場スタッフの質にも問題があると言えるのかもしれません。
騒動自体は一件落着しましたが、タイの教育や社会が抱える問題を浮き彫りにした出来事でした。(取材・文◎赤熊賢)
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