ジャニーズを使えば数字が取れるーー。テレビ業界でよく使われる言葉だ。ジャニーズのタレントが使われる理由のひとつに「視聴率が取れる」ことが挙げられるが本当にそうなのか。
ジャニーズを応援するファンを「組織」として考えると、これほど頼もしいタレントはいないことが分かる。ファンクラブの登録会員数だけでも約500万人ともいわれる規模を誇る。これに対抗できるのは全盛期の少年ジャンプくらいだろうか。日本国民の約20人に1人はジャニーズのファンという計算も成り立つ。テレビの視聴率は1%で100万人だとされるので10%なら1000万人で、50%なら国民の約半数が観たという計算になる。毎年40%前後で推移するNHK紅白歌合戦は約4000万人に向けて、メッセージを送っていることになる。
しかし、視聴率なんてものは水物なので期待通りの数字にならないことが多い。最近では、SMAPの木村拓哉が主演したドラマ『安堂ロイド~A.I. knows LOVE?~』(TBS)が大ゴケした例もあるが、それでもジャニーズの組織力が背景にあるため、広告筋からの信頼は揺るがない。
さらに最近ではジャニーズなら誰でも良い、という風潮まで出てきた。とりあえずスポンサーに困ったら、どこの誰よりジャニーズ関連番組なのだと証言するのは広告代理店の営業だった。ジャニーズ絡みなら、スポンサーなど探さずとも企画段階で空きが埋まるほどだという。なぜ、数字面で健闘しているとは言い難いジャニーズが重宝されるのか。
それはジャニーズのタレントが出演した番組は「保険」が利くからである。たとえば最近ではSexy Zoneの佐藤勝利が初主演した深夜ドラマ『49』(日本テレビ)は初回3.1%で途中1.7%まで落ち、最終回は2.2%という平凡な数字に終わった。しかし、ジャニーズの出演は視聴率だけでは測れない効果が期待できるのだ。ファン同士の話題やクチコミ、ソーシャルメディアにおいても、ファンの絶対数の多さによって周囲にも波及していく。数字には反映されない影響力はジャニーズの組織力によるもので、こんな「保険」に魅力を感じるスポンサー筋も確実に存在する。
その点ではKis-My-Ft2の玉森裕太はもっと評価されていいだろう。ちょうど今から1年前に玉森が主演したドラマ『信長のシェフ』(テレビ朝日)は23時台で視聴率10%以上で安定推移した。こうした「意外性の男」が次々現れるのがタレント層の厚みを持つジャニーズキャスティングの魅力でもある。玉森の快挙は、昨年初めにSMAPの稲垣吾郎が主演した深夜ドラマ『心療中-in the Room-』(日本テレビ)が平均2.1%という視聴率に終わったこともでより際立つ。
数字的には大ゴケしてもスポンサーは後を絶たないし、局側からもお咎めなし......。まさに「ジャニーズブランド」の威光だが、それに甘えて低視聴率ばかり続けていたらそのステータスも急低下する。そんな矢先に現れた玉森祐太は、そんなジャニーズの危機を救っていたといえるかもしれない。
「帰ってきたカルチャースタァ☆平本淳也」
Profile●ジャニーズ出身の実業家、作家、投資家。10歳でジャニーズ事務所から芸能界入り、30歳過ぎまでアイ ドルを続け、現在もテレビや雑誌で活躍を続けるなか、月間100万アクセスを獲るカリスマブロガーとしても知られる。22歳のときに物書きデビューして以 来、34冊の書籍を発表。http://ameblo.jp/junya-hiramoto/
Written by 平本淳也
Photo by 金曜ドラマナイト『信長のシェフ』公式サイト
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