年末になると、「来年は今年以上に良い年にしたい」と誰もが思うもの。だが、芸能人にとってはすべてはミズモノなので、年が変われば仕事もガラリと変わる。今年は数千万円あった年収も、今年は100万円未満とか、来年のスケジュールは全く白紙といった状況は決して珍しくない。
それは、かつて大活躍したジャニーズのタレントにとっても他人事ではない。とくにジャニーズの場合、売れる時の爆発力が凄まじいので、旬を過ぎた後との落差は相当ヤバい。いわゆる一発屋と呼ばれるお笑い芸人と違って、「地方営業」などの実入りの良い仕事とも縁がないので、金銭的にも苦しくなってしまう。
例えば、一世を風靡した光GENJIは人生いろいろだ。山本淳一はネットのバナー広告営業マンを経て、今では愛媛県松山市の知人社長を頼って、道後温泉のバーで店長に。その収入は月20万円程度とのことだ。赤坂晃は塀の中から出てきて謹慎中、佐藤寛之はもっぱらライブ活動が中心。諸星和己と大沢樹生はネームバリューも際立っているだけに、仲を戻してなにやら企て中かという話もある。
SMAPが出てくるまでのジャニーズ、つまり80年代デビュー組のその後はかなり過酷なケースが目立つ。芸能界に残ったとしても、ジャニーズの力を見せ付けられて、勝負すらさせてもらえない環境に追いやられてしまう。それはあの伝説の男性アイドル、田原俊彦の停滞期間を見ても明らかだろう。最近ようやく再ブレイクを果たしたものの、それまではまさに「あの人は今」状態だった。
70年代デビュー組はさらに過酷だ。知る限り最も酷かったのがフォーリーブスの北公次さんである。売れに売れまくったフォーリーブスから解散後は、芸能界を追われて漁港でアルバイトをしていた。晩年はフォーリーブス再結成が実現して表舞台に返り咲いた。アイドルのまま天国に逝けたという素晴らしい結果を残している。
ジャニーズの場合、デビューすればそれなりのネームバリューを得られる。だが、それが決してプラスに働かないのが「第二の人生」の怖さだ。成功できる可能性は周囲や環境によって大きく異なる。そこで大きいのは「人」だ。この業界にはずる賢いヤツが多くいるし、人を利用して儲けようという企みは後を経たない。そんな連中が目を付けるのは、ネームバリューがあってブランド価値まで付いてくる元ジャニーズなのだ。
それでなくても狙われやすいのが「元アイドル」である。世間知らずというイメージもあってか、美味しい話を持ってくる連中がじつに多い。そこで組んで事業をしてみても儲けや利益はほとんど入らず、ケンカ別れというのが多いパターンだ。女性アイドルもこの手のトラブルが多く、ピンクレディのミーさんは数億円もの借金を背負っていた時期がある。元ジャニーズの場合は、さらにそういった大きな金額の話から小さな話まで、より多くの話が持ち込まれる。例えば多いのは、ホストクラブやボーイズバーへのスカウトなど。一部には成功者もいると聞く。
オレの周りでは業界に未練なく人生そのものを切り替えられた元ジャニーズも多い。映画監督として名を馳せた先輩や広告代理店で取締役になった同期、商社での営業で日本一の売上を記録した男、最近では外車の専門店をオープンした後輩もいる。オレの周りには素晴らしい元ジャニーズが多いのが正直に嬉しい。90年代以降にデビューしたSMAPや嵐は環境的にも恵まれているので過酷な局面は訪れないと思われるが......。
ちなみに、ジャニーさんが「気持ち悪いからテレビ消して!」と叫んだソロデビュー組のひかる一平は、ブティックのようなお店を経営しながら、最近は俳優学校をオープンするという意外(?)な活躍を見せている。
「帰ってきたカルチャースタァ☆平本淳也」
Profile●ジャニーズ出身の実業家、作家、投資家。10歳でジャニーズ事務所から芸能界入り、30歳過ぎまでアイ ドルを続け、現在もテレビや雑誌で活躍を続けるなか、月間100万アクセスを獲るカリスマブロガーとしても知られる。22歳のときに物書きデビューして以 来、34冊の書籍を発表。http://ameblo.jp/junya-hiramoto/
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Written by 平本淳也
Photo by Steven Ritzer
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