昨年のミス・インターナショナルで、日本人として初めてグランプリに選ばれた吉松育美氏が16日、日本外国特派員協会で記者会見を行い、大手芸能プロダクション・ケイダッシュの幹部で、関連会社パールダッシュ社長の谷口元一氏を11日、威力業務妨害で警視庁に刑事告訴、ならびに東京地裁に民事提訴したことを公表した。
吉松氏は昨年のグランプリ覇者として、今年の世界大会で次期受賞者に王冠を渡す予定だったが、ミス・インターナショナル本部から呼び出され、「体調不良を理由に自粛してくれ」と告げられたという。これについて吉松氏は、谷口氏がミス・インターナショナルの協賛企業に圧力をかけたからだといい、そのほか事務所移籍のトラブルが発端になって数々の脅迫や嫌がらせがあったと語っている。
また、谷口氏は吉松氏の実家の電話番号を調べ、両親に対して「川田さんはマット・テイラーに洗脳されて自殺した。育美さんも同じことになるかもしれない」などと語ったという。この谷口氏とは、元TBSアナウンサーの川田亜子さん(享年29)が自殺した時にも名前が取り沙汰された人物。一方のマット・テイラー氏は当時の川田さんの「最後の恋人」といわれたアメリカ人の平和活動家。そう聞くと、この騒動は途端に怪しい雲行きになる。
谷口氏とテイラー氏は法廷闘争を繰り広げた関係だった。川田さんの死後、まずはテイラー氏が「自殺の原因を明らかにする」と谷口氏に対して法廷闘争することを宣言する。しかし、その内容は大方の予想に反して、自身が製作する映画について、谷口氏が「テイラーは詐欺師だ」などと触れ回ったため公開停止に至ったとして、1億円の損害賠償を請求するというものだった。
それに対して谷口氏も反訴する。テイラー氏の核兵器解体事業に共鳴した川田さんから紹介を受けた谷口氏は「ロシアの核兵器解体現場を撮影させる」という約束で1千万円を支払ったのに約束が履行されなかった、という内容だ。この時点で両者に金の貸し借りがあったことが判明し、そこに挟まれた川田さんの苦しい立場も明らかになる。
そして一審判決は谷口氏の主張を認め、テイラー氏に1100万円の支払いを命じた。この法廷闘争は川田さんの死の真相を明らかにするための裁判だと思いきや、結局は金の貸し借りによるトラブルでしかなかったのだ。そんな経緯がありながら、テイラー氏は支払いを滞ったままで吉松氏の海外エージェント(実質的なマネージャー)に就いた。そこに谷口氏が押し掛けていた。「金を返せ」と。
ちなみに今回の吉松氏の告発は多くのマスコミがスルーしている。それはなぜか? 吉松氏は自らのブログでこう綴っている。
◇
記者会見が終わり、マスコミの方々から積極的な質問もたくさん受け、皆様の感心は高かったように感じました。
しかし、ネットでは記事がどんどんと削除され、新聞もテレビもほとんど報道されない今。
日本の「見てみぬふり」、「臭いものに蓋」という文化が露骨に表れている気がします。
こうして何かの力により様々な情報がコントロールされ、私の声は消されていくかもしれません
(原文ママ)
ネット上でも同様に国内のマスコミが報道しないことを「芸能界の圧力」だとして批判している。果たしてそうだろうか? この一件をマスコミがまともに取り扱わないのは、極論になってしまうが谷口氏の背景というよりも吉松氏の背後に控えるマット・テイラー氏の怪しさにある。
アメリカの民間人がなぜ、ロシア政府から核兵器の解体を請け負えるのか。そんな人間がなぜ1千万円程度のカネに困窮しているのか。テイラー氏は判決を不服として控訴を示唆しながら、なぜその後動かないのか。
さらにテイラー氏には過去、タイタニック財団日本代表を自称して集めた寄付金の使途不明疑惑もあった。そもそも平和活動家だったはずなのに、なぜ吉松氏の海外エージェントをしているのか。そんなテイラー氏に浮かぶ数々の疑問を考慮すると、この騒動を芸能界の闇だとかケイダッシュやバーニングといった大手芸能プロダクションの圧力だとかの陰謀論につなげるのは少々無理がないだろうか。
この裁判の過程でテイラー氏の素性や両者のやり取りが明らかになると、マスコミの多くは一斉に川田さんの死の真相への興味を失っている。
結局は、怪しいとされる外国人とコワモテとされる業界人が金で揉めているだけのことだったのだ。当然、谷口氏も叩けばホコリも出るかもしれないが、それは一方のテイラー氏も同じ。この「どっちもどっち」な一件は、1千万円というチンケな金額を巡る個人同士の争いでしかなく、そしてすでに裁判で決着済みのトラブルが原因。さらに裏取りも困難という扱いに困る題材なのは間違いない。もちろん、だからといって谷口氏による脅迫が事実なら許されるものではない。
ひとつだけ明らかなのは、この両者の金銭トラブルにまたしても将来豊かな女性が巻き込まれしまったという事実。本当に脅迫や圧力があったとしたら吉松氏にとっては不幸でしかない。それが今後、刑事・民事の両面で明らかになりながら、どのマスコミも報じなかったとしたら......その時こそ、我々は本当の「芸能界の闇」を目撃することになる。
Written by 内村塩次郎
Photo by 吉松育美オフィシャルブログ
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